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- ナノ -
16

別れの時が来た。空は雲一つない晴天。風も優しく髪を撫でる。


「じゃあね、First nameちゃん」

「おー、あんまり赤髪に迷惑掛けんなよ」

「何それ」

「言葉通りの意味ですが?」

「もー」


ケラケラ笑う私たちを白ひげ海賊団も、赤髪海賊団も見守っている。


「あ、そだ。はい、これ」


ナナちゃんに差し出したのは銀色のバングル。


「え、くれるの?」

「うん、見てお揃」


私は自分の左手を見せた。


「本当だ!ありがとー!」

「いえいえ」

「何か意外だね」


ジッとバングルを見つめながら言うナナちゃん。


「そ?」

「これ、何て書いてあるの?」


バングルに刻まれた文字。

私は彼女の耳元で囁いた。


「表の文字は『私たちは迷い子である』内側の文字は『それが運命』」

「……」


顔を離して、にっと笑う。


「それ付けてれば迷子になりやすいナナちゃんも安心でしょ?みーんな、それ見て助けてくれる」

「ひどい!そんなに迷子になんないから」

「はいはい」


適当にあしらったら、むっとしながらも腕に付け、それを見つめて微笑んだ。そして、白ひげに体を向けた。


「白ひげさん、First nameちゃんのこと宜しくお願いしますね?例のことも」

「は?」


ちょっと、例のことって何だし。てか頼みますって……。


「グララララ、あぁ、安心しろ。First nameは大事な娘だからなぁ」

「はい」


む、何かこれじゃあ負けてる気がする。


「赤髪!」

「お、何だ?ナナのこと頼むってか?それなら任せと……」

「てめぇ結婚前に孕ませたりなんかしたら、その片腕ぶった斬るからな!」

「First nameちゃん何言ってんの!?」

「避妊は男の義務だろが。ナナちゃんも赤髪の言いなりになってズッコンバッコン、ヤラれんなよ」


真っ赤になったナナちゃん。今にも蒸気機関車のように湯気が出そうだ。

赤髪は気まずそうに頭を掻き、白ひげ海賊団のクルーも赤髪海賊団のクルーもワッと笑いだした。


「もー知らない!」


プイッと背を向けたナナちゃんは赤髪の腕を引き自分の居場所へと戻って行く。


「ねぇ、また会えるよね」


背を向けたまま言ったナナちゃん。聞き漏らしてしまいそうなほど小さく溢した。


「いつでも遊びに来れば?私は行かないけど」

「何それー」

「だって、めんどい」

「もー、First nameちゃんてばー」


彼女と私の道は再び分かれた。

また出逢えるかどうか、それはまだ誰も知らない。


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