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さて、どうしましょうか。まぁ、こんな奴ちょちょいのちょいと今の私ならやっつけられるが。
ちらっ、と背後を見る。この子、無駄に威勢だけ良い子に育っちゃって、まぁ。
「ねぇ、武器とか持たされてないの?」
「え、うん、ないよ」
「まじ、どんだけ過保護なんだよ赤髪」
「ちょっと、何それ!」
膨れっ面でバシバシ肩を叩かれる。
「痛い痛い痛い!ちょっ、護ってやんねーぞ」
「すいませんすいません、申し訳ありません」
ふざけているわけではなかったのだが、相手からしたらそう見えたらしい。
ブチッと何かが切れる音がした。
「え」
「てめぇらぁああああ!」
「うおっと」
いきなり襲って来るなんて卑怯な奴め。
「ナナちゃん、邪魔」
「ちょっ、邪魔って!」
「下がって」
ナナちゃんを後ろに押しやり男と対面する。
「ひょろっこい兄ちゃん、俺に敵うと思ってんのか?」
「うん」
あ、また何か切れた音した。こめかみがヒクヒクしてるよ。
「面倒だから一瞬で終わらせるね」
「あ?」
私は風になる。
砂煙が視界を遮った時、男は既に地べたで伸びていた。
「はい、終了」
パンパンと手を払い阿呆な男をわざと踏み潰してナナちゃんの元へ向かった。
「お待たせー」
「……」
あらら、驚愕しすぎて目ん玉ひんむいてるよ。
「……First nameちゃん、強っ!」
「だてに白ひげの船乗ってないから。ほら、行くよ」
「う、うん」
ちらりとナナちゃんは伸びた男を見て足早に私の後を付いてきた。[ 113/350 ][*prev] [next#]
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