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- ナノ -
12

夏島なだけあってか賑やかだ。賑やかなだけあって、それだけ危なそうな人間も多い。

多いのに、この子はフラフラ、フラフラと。赤髪の苦労が目に見えるわ。


「こら、ナナちゃん」

「んー?」

「あんま離れんな」

「あははっ、大丈夫だよー。First nameちゃん心配性だなー」


あー、頭痛いわー。何なん、この子。

トリオが少し離れたところでギャーギャーしてる。ナナちゃんはフラフラと、どんどん進んでいる。

あーもー、疲れるわー。


「First nameちゃん、あっちのお店……ッ」


ほら、やらかした。

ナナちゃんがガラの悪い奴等とぶつかった。何て王道的展開。ほんと、ぶつかった方に同情するわ。


「ご、ごめんなさい」


尻餅付いた彼女に手を差し伸べる。


「大丈夫?」

「ん、ありがとう」


面倒なことはお断りですとその場を離れようとしたが、まぁ、無理ですよね、うん。


「ちょい待てー」

「ぷっ」


ナナちゃんと吹き出したのが被った。

ちょいって、何だし。


「ねぇ、ナナちゃんてこんな風にいつも絡まれるの?」

「え、たまにだよ、たまに、たーまー……」

「もーいー、分かった。しょっちゅうなわけね」

「ひでっ、First nameちゃんもでしょー」

「え、全然まったくないけど」

「うっそー!」


驚愕したナナちゃん。私たちは、すっかり相手のことを忘れていた。


「てめぇら、調子乗ってんのか!?」

「うわっ、何その定番台詞」


またまた被った私とナナちゃんの声。

はいはいはい、仕方がないから相手してあげましょうか?


「おにーさん、こっちは謝りましたが?」


ナナちゃんを背に隠し、一歩前に出る。その手はナイフと銃に掛かる。


「謝っただけで済むと思ってんのか?」

「はぁ、じゃあ海軍でも呼んできますか?」

「んな必要ねぇなぁ。礼は、その女の体で払ってもらうぜ」


男の視線の先には、ナナちゃん。


「だって、どうする?」

「払うわけないじゃん!First nameちゃん、やっちゃってよ!」


私の背中に隠れて喚きながら男に向かってビシッと指をさす。

まったく、簡単に言うなよなー。


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