14
私の紅茶をすする音だけが食堂に響く。三人は死んでる。そこにサッチが料理を持って登場。
「おいおい、お前らだらしないねー」
「サッチ隊長はよーっす」
綺麗に揃えて口だけ挨拶。顔も挙げられない三人。
おいおい、それで良いのか君たち。隊長相手の言葉使いにだけは厳しいのに。酒って怖い。
「ねぇねぇ、First nameちゃん」
「何かなグリーン」
「昨日のレッドとの勝負見てさ。何か、めちゃくちゃ動き速くなってなかった?」
「確かに最初俺反応できなかったし。それに一つ一つの攻撃が重くなってた」
「ふっふっふっ、よくぞ聞いてくれました。私、能力使うって始めに言ったでしょ」
私が話し始めるとテーブルに伏せてえたイエローものろのろと顔を挙げた。
「誰にも言っちゃダメだよ」
一言前置きをして私は親友三人に自分の能力について説明した。
私は至って一般人で力も速さもない人間。どんなに鍛えたって頑張ったって、こっちの世界の人みたいに身体能力を上げることができない。
だから風の力を借りる。
体を風にして風に乗るように身体を動かす。風を起こして技に重みを与える。
「何だ種明かしたらそんなもんか」
「何だとイエロー、こんにゃろう。他にも色々技考えたんだからなー」
あっさりスープパスタを食べながらイエローを睨む。
「へぇ、どんな?」
頬杖付きながら明らか馬鹿にした顔に、カチーンときた。
そっと前に出した手のひら。三人の視線がそこに集まる。
手のひらに風を集める。イメージするのは私の大好きなあの人。
「これをもっと大きくすることもできる。海の上や砂漠の上でこれが放たれたらどうする?」
私の手の上で踊るような程、小さい渦。大きくなれば竜巻、サイクロン、砂嵐となる。
「お前、怖ぇな」
「でしょ?まだまだ色んなのあるよ」
ニヤリと口の端を上げた私に三人は苦笑した。[ 94/350 ][*prev] [next#]
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