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- ナノ -
01

いつも見てた。いつだって私は彼を見ていた。だから知っている、彼が誰を見ていたかなんて。私が彼を見れば彼は彼女を見ていたのだから。決して交じ合うことのない平行線。

あぁ、なんて、なんて。


「First name!大変だ!カラナが!」


そう言われて私はお面を付けたまま駆けた。向かうは木の葉病院。

通い慣れた病室を開ければそこには見慣れた銀髪の後ろ姿。そして彼が見下ろす先にはいつもとなんら変わらない彼女。穏やかに閉じた瞼。誰が死んでいると思う?


「カカシ、さん」

「……逝ったよ」


あぁ、許して、姉さん。
震える指先をぎゅっと握り締めた。

嬉しい筈なのに、何故かお面の下の私は口に弧を描きながら、泣いていた。




愛からにて愛終らず
(彼が愛する姉にはなれない。いつだって私は彼女の妹。あなたが私を気にかけるのも、優しくするのも、そう、私が姉の妹だから。あぁ、お面があって良かった。あなたは反対したけれど、それでも私はあなたの背中を追うことはやめない。だって、私はあなたを愛することで、愛を知ったのだから。)

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