09
「……んの、馬鹿者!」
火影の怒号が響き渡った。何故すぐに戻らなかった、戻りはせずとも指示を仰ぐために文を飛ばすことは考えなかったのか、などと説教がツラツラと並べられ、三人は起立したまま頭を下げていた。
「……ッ、綱手のばぁちゃん!説教はもういいってばよ!それより早くサクラちゃんたちを助けに!」
「分かっておる!……鈴音リツ、お前が率いろ」
「……俺に、そういうのは向いてないです」
「ならどうする」
火影は目を細めた。
「……真白ユキを」
「真白か。まぁ、適任か」
一瞬目を見開くも、火影は顎に手を添え納得したように頷いた。
「だったら!カカシ先生も!」
途端、落雷のような音が響き渡った。皆、一斉に音源に目を瞠る。
「あの男を呼んだら、俺は一人で動く」
鈴音リツの足元には大きな亀裂が出来ていた。何が起こったのかは誰も分からない。何故ならば鈴音リツが動いたのを誰も、だれもだ。捉えられなかったのだから。
「落ち着け、鈴音リツ」
火影は溜息を吐いた。例のことは火影の耳にも入っている。
「でもよ!戦力は」
「ガキが、それ以上口開いたら」
殺すぞ。
ヒュッ。
ナルトは、まるで酸素を奪われたかのように息が苦しくなった。
「な、なんだってばよ」
誰もが声を発せられないでいた、そんな時。
「こーら、リツ。後輩苛めんな」
「いて!ちょっ!ユキちゃん!?酷い!」
「酷くない。すみませんね、火影様。躾がなってなくて。そっちのも、怖がらせちゃったかな?」
「真白ユキ、か」
「べ、別に俺ってば、こ、こわ」
「ナルト、お前もう黙ってろ」
シカマルは、もうあんな面倒な空気ごめんだと影を操りナルトの口を塞いだ。
「リツ、お前がいながら何やってる」
「……すみません」
「火影様。この隊、私が責任を持って率いらせて頂きます」
「うむ、頼んだ」
こうして新たな編隊を組む、一行は二人の仲間を迎えに向かったのだった。
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