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02

さてさて、自分の中にある想いに気付いてしまったヘル。だからといって行動におこすことなどなく、もやもやとした思いを抱えたまま穏やかな日々が過ぎていた時、城に珍しい来訪者が訪れた。


「お姉様!お姉様ったら!」

「ん……何?」


朝早くアフロディーナがヘルを起こしにきた。ベッドに乗られて体を揺すられればさすがのヘルも起きざえるおえない。


「来たのよ!」

「……誰が」

「僕だよ!」

「うっ」


無邪気な声と共に腹部が圧迫されたヘルは思わず呻き声が漏れた。


「きゃあ!お姉様、大丈夫!?」

「重い、どいて下さ……ッ」


不意打ちの銀色に思わず息を呑む。声から誰かだなんて分かっていたのに、身体中が燃えるように熱くなった。


「ヘル、どうしたの?」

「……いえ、どいて下さい。ユリウス」

「もう!ユリウス、お姉様は寝起きが悪いんだから駄目じゃない!」


頬っぺたを膨らませて叱るディナ。普段末っ子扱いのため、このユリウスにはお姉さんぶるのだ。


「ユリウス、一人で来たの?」


ベッドから下りながら問えばユリウスと呼ばれた銀髪を持つ幼い少年は笑顔で首を横に振った。


「ううん!兄様と一緒!」

「そう」


ユリウスは南の国第二王子。つまり、シリウスの弟だ。


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