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すくすくと子どもたちは育ち、また国民たちも彼らの時代に期待を寄せていた。
彼らは十六の年月を過ごした。
東の国、第一王子の名はキース。
金糸の髪を靡かせ白馬に乗る姿はまるでお伽話に出てくる王子そのものであった。また、性格は勇猛果敢、既に国政にも口を出すほどの政才、行動力も備わっていた。
西の国、第三王子の名はアトラス。
黒真珠のような艶やかな黒髮を持ち、穏やかな雰囲気を見に纏う末王子。末の所為か、幾分マイペースなところはあるが、兄達の支えになるよう日々勉学に勤しんでいる。彼の博識には兄達も敵わないだろう。
北の国、第一王女の名はベラトリクス。
彼女はまさに星の名、ベラトリクスに相応しい女戦士である。腰まで伸びる赤毛を靡かせ剣を振るう姿は敵をもわななくだろう。
南の国、第一王子の名はシリウス。
月明りに照らされた彼の白銀の髮を見たものは息を呑むだろう。射抜くような鋭い眼光はまさに王に相応しい。寡黙な性格だが、その剣の腕前は既に国の五本の指に入るに違いない。
中央の国の王女の名はアフロディーナ。
美の女神、アフロディーテから付けられたその名は彼女以上に相応しい者は一人としていないだろう。紅紫の瞳で見つめられれば皆、魅せられてしまう。まさに王女だ。
そして、中央の国には、もう一人の王女がいた。[ 4/46 ][*prev] [next#]
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