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PERFECT LOVER



君との一歩 

自身がわりと事なかれ主義な性格をしているというのは理解していた。いざこざに巻き込まれてしまうより、対処して免れることができるならば楽でいいなと思ってしまうようなタイプの人間で。
何事もそつなくこなすこともできていれば、この性格も直す必要はないとさえは思ってきたくらいだった。
今、自分に起こっていることに対してどう対処したらいいのか途方に暮れるまでは。
今朝がた下駄箱の中でひっそりと存在を主張するかのように置かれていた手紙を見つけるまでは、なんら変哲もないどこにでもいそうな普通の男子高生生活を送っていたというのにだ。
「いったい、俺が何をしたというのだろうか」
神様コンチクショウなんて現実逃避よろしく呟いてみても現状が変わるわけでもなく。
何もしてこなかったからの状況なのかなんなのか。しかし何もしてこなかったからと言ってこんなことになると誰が想像できようか?
「おれを―――……」
まさか、自分と同じ性別の男にあんなことを言われるような日が来るとは夢にも思うまい。例え周りにそんな関係の人たちが居ようとも当事者になることはないだろうとタカをくくっていた入学当初の自分を殴ってやりたいと心ながらには思った。

「ん? なんだこれ」
朝、自身の下駄箱を覗けば真っ白の包み紙が上履きの上に置いてあるのに気付いた。
これは所謂ラブレターかな、なんて柄にもなく思ってみたりして。ここは全寮生ではないにしろ男子校であるのだからラブレターではないとは思う。確かに親衛隊なる存在があるけど、だいたい敬愛を示す人たちで成り立っているので恋人になりたいとかそんな感情を抱いている人は少ない方である。
学校外に出てしまえば女の子と関われる場所はたくさんあるため、彼女の居る生徒はそれなりに居る。もしかしたら探せば男同士で付き合っている人たちは居るのかもしれないけどそんなつもりはないし、そっとしておきたい気持ちもあるから。
「呼び出し、ね」
真っ白な包み紙を開ければそこには「放課後、校舎裏に来てほしい」とだけ書かれていた。差出人の名前はどれだけ探しても見つからず、イタズラかとも思ったけれど、宛名にはきちんと俺の名前が書かれておりイタズラではないのだと思うには十分で。

(後略)






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