▼誰かが

ここはアナタの心の中です。

私のことがわかりますか?シズク。
ずっとずっと前に、私はアナタに会ったことがあるのですよ。
記憶の封印として留まり、いまようやくアナタに語りかけることができました。

真実を知ってしまったのですね。
あの頃の私も、長門がここまでのことをするとは、こんなに多くの命を犠牲にしてしまうとは 思ってもみませんでした。今の彼を思うと胸が張り裂けそうです。
長門をどうか許してあげて。
本当は心優しい人だったのです。
彼には彼の大切な仲間があり、平和を築くという かつて理想があったのです。それはアナタやアナタの仲間が求める平穏の日々と同じものでした。

彼の行為は間違っています。
でも シズク、本当は誰も、だれも悪くないんです。
責めるならば、アナタを木ノ葉隠れに託した私を、長門を変えられなかった私を責めて。
守ってあげられなくて、本当にごめんなさい。

せめてもの罪滅ぼしに、これから長門のチャクラの支配を、私のチャクラで食い止めましょう。アナタの体に流れる血の、チャクラの半分は長門に由来するもの。そしてもう半分は、私に由来しています。

彼が黒い杭なしにアナタを操作出来るのは、その半分が勢力を強め、全身を支配しているため。私が彼の支配と拮抗すれば、アナタの意識は表の世界に繋がり、声も発することが出来るでしょう。

お行きなさい。

シズク、あなたには大好きな人はいますか。
いるのならその人にありのまま事実を打ち明けなさい。
アナタの父が長門だと知って、アナタの仲間たちは戸惑い、恐れ、憎しみを覚えるかもしれません。
でも、どんな苦しみを抱えていても、憎しみごとアナタを受け入れて人がいるかもしれない。

大丈夫。まだ間に合うわ。

私の力が及ばなくなったら、長門の支配はアナタが自分で克服するのです。


さあ、行きなさい。



その頃、シズクを縛る父親は、木ノ葉の上空より、広がる町並みを見下ろしていた。
彼の心に迷いはない。
真っ直ぐに手をかざし、唱えれば、衝撃は眼下に伝わる。


木ノ葉隠れの里は、文字通り跡形もなく吹き飛んだ。

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