▼小南

「アンタはオレからすれば成長しきれてない小さな存在だ」

「ガハハハハハ!!ガキにガキ扱いされるとはのォ!そもそもワシも もはや人では無いわい!!」

自来也様が印を組むと、立ち上る煙と共に大蝦蟇が現れた。

「怒りに溢れた血の涙ァ!三忍語りて仙人に!妙木山の蝦蟇妖怪!!自来也様たァ〜……うぐっ!ってコラー!ガマケンさんよ 見得を切る所で揺らすなってのォ!!」

「自分 不器用なもんで…」

敵もカメレオンのような口寄せ動物を召喚した。

「こいつ相手に様子見は無い!最初から全力で行く!シズク、お前はワシの援護につけのォ!」

「はいっ!」

口寄せ対決で下手に出れば 私は一瞬でぺっちゃんこだ。道はひとつ、戦いの隙をついてペインに近づき、狙うこと。
私はチャクラ刀を握って、ペインの背後へ回り込もうと地を蹴ったが、その行く手を阻むように手裏剣が飛んできた。

「!」

「ペイン、彼女は私が相手をするわ」

手裏剣の正体は光速回転する紙。
自来也様と私を引き離そうってか。

「拘束しろ。誤って殺すな」

「分かっているわ」

小南は紙の手裏剣を次々に飛ばしてくる。移動を余儀なくされ、私はだんだん自来也様とペインの戦線から遠ざけられていく。
翼で自在に空を舞う小南に、一方的に追われている状況だ。

「邪魔しないでよっ!」

この小南に対しては地上戦も無謀だ。
空中戦には空中戦を。私はチャクラを背中に集中させ、一対の翼を広げた。

《火遁・鳳仙火の術!》

迫る紙の攻撃を火遁で撃ち落とす。
無数の高い塔が乱立したこの見知らぬ土地で、地の利がある小南の後ろを取るのは至難の業だ。
相手が紙なら火遁は有利かと思ったけど、早すぎてこちらから攻める余裕がない。

「…!」

飛行しながら自来也様のいる方角を仰ぐと、大きな爆発音に、数多の頭を持つ狼。あのペインという瞳術使い、さっきからどうして口寄せばかりなんだ。

「余所見は禁物よ」

顔を掠めたのは、紙に紛れた爆の文字。
急いで爆発を避けるも、逃げた方向には小南の紙の檻が待ち受けていた。
単なる囲いかと油断したが、紙片は瞬時に私の体に貼り付き、皮膚を覆っていく。

「しまっ、……!」

「あちらが済むまで大人しくしていなさい」

侵入の際に捕虜に使った技と同じものか。
吸着力が強く頑丈で、関節を動かすこともできない。
私をミイラにでもする気か。
このままじゃ―――

「億単位の数の人間が一瞬で死に絶える。そして人々は恐怖する!」

そんなこと、させるもんか。

呼吸を整え火遁のチャクラで練り、それを中枢から末端、皮膚へと移動させる。そのまま一気に 皮膚表面で火に変換した。
まとわりつく紙を自分の体表ごと焼き尽くす。熱い。痛い。

「なんて無茶な…」

解放された耳が小南の声を拾った。
この身ひとつならいくらでも回復する。焼けただれた体の表皮だって、治癒していく。

「木ノ葉で力の使い方を学んだようね」

「やめて。何度言っても私はそんなの信じない!」

「信じようと信じまいとこれは事実…」

「黙れっ!」

今度は私の番だ。
火遁で大きな火柱を吹き放ち、小南に向かって飛ばす。紙の術は厄介だが、必ず何か仕掛けがあるはずだ。この女のチャクラで練られているなら、チャクラ切れになれば、きっと生身の本体が現れる。

でも、今は時間がない。
自来也様のもとへ行かないと。

「火遁・火林!!」

私は自分と小南との間に数えきれない火柱を出した。燃え盛る火の森、隙間をぬって移動しようものなら 忽ちその身を焼き焦がす炎を。

*

随分時間を食った。
距離も離れてしまった。
チャクラの羽で全速力で飛び、煙の舞う辺りに駆けつける。

そこに広がっていたのは、目を覆いたくなる光景だった。

「……自来也様ぁっ!!」

うつ伏せの彼の背には、5本の太い武器が。
片腕を失い、彼は倒れていた。

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