立海の節分



「今日は節分じゃ」
「仁王くん、だからと言って豆を私の鞄の中にばらまかないで下さい」

精市を見舞いに来た筈が、またもや単なる喋り場になりつつある。有りと言えば、有りだがな。

「仁王!俺にも頂戴っ」
「ブンちゃん、食べ過ぎるからイヤじゃ」
「比呂士ィ、奪えっ」
「ジャッカルに買って頂きなさい」
「あぁっ!?比呂士、絶対に紳士じゃねぇし」

仁王にたかる丸井を諌める柳生だが、最近やけにジャッカル任せだ。柳生も疲れているのだろうか。

「豆って年の数だけ食べられるんスよね」
「そうだ、赤也は13個だ。精市は14個だ。食べ過ぎるな」

精市は赤也から受け取った『福豆』をザラザラと手に広げだした。散らかるというのに。そう思い手を伸ばすと、柳生が素早く片付けた。やはり、紳士なのか。

丸井じゃあるまいし、と笑う精市に弦一郎が呆れている。

「あら、皆それだけで足りるかしら」
「皆は初めてだよね。南さん、お世話になってるんだ」
「大丈夫だよぃ!」

新顔の南さん、か。丸井が懐きそうなタイプだな、赤也もか。

「あら、そう?だって…失礼ですが、おいくつですか?」
「む、14歳です」
「っくくくっ…!」
「精市」

南さんの発言に、弦一郎は帽子を目深に被り直す。精市は、笑い過ぎだ。


「アッハッハッハハハ!ヒィ…」
「ブンちゃん、失礼じゃ」
「仁王くん、顔が崩れていますよ」
「比呂士もな」

精市以上に笑う丸井と赤也だが、仁王に殴られていた。柳生の口元は緩んでいるし、ジャッカルは涙目だ。いい加減、弦一郎のこういったネタには慣れないのだろうか、と俺は思うのだが。

「あ!ごめんねっ!!」


「真田副部長っ、14粒ですよっ!はいっ」
「…ありがとう」
「真田、幾つに見られたんだろう」
「幸村っ!」

今日も今日とて、面会時間ギリギリまでいるのだろうな。


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