15



次の日の午後、黒崎一護と共に二人は虚退治や魂葬を行った。

「一護ォ!!邪魔すんじゃねぇ!」

「助けてやったんだろうがよ」

軽口を叩きあいながら片付けていく横で、金柑は魂葬を行っていた。

そこに、一人の少女が現わ、怯える視線の先には虚。

このくらいなら私でも大丈夫

金柑は抜刀して斬りかかった。その虚は抵抗することなく、金柑の手によってあっけなく昇華された。

金柑は泣きじゃくる少女の元へ行き、体を抱き寄せて大丈夫かなと囁いた。

「うん、お姉ちゃん誰?」

きょとんとしながら尋ねる少女。

「私はね金柑、死神なの」

死神と繰り返す少女は、笑いながら金柑に抱き付いてきた。ギュッと死魄装を握り締める少女の頭を撫でる金柑。

こんな年で…
だけど早めに魂葬した方が良いかも

金柑は、あなたを尸魂界ってところに送ろうと思うのと説明をしようとした。

更木や草鹿に行かないと良いんだけど…

ねぇ、と見上げる少女に目線を合わせる。

「じゃぁ一つお願いがあるの…」

聞いてあげられることなら、と前置きして聞けば、大丈夫だよと笑顔で答える。

「あのね…」

少女は、目を見開き答えた。力をよこせ、と。さっきまでの柔らかい声ではなく、腹の底から、地から響くような低い声で。同時に、急に跳ね上がった霊圧。

な…にこれ

「さっきの娘は喰ろうた、薄くて不味かったがな」

下卑た笑い声が響く。

消さないと…

思わず斑目と黒崎の方を見るも、彼らもまた虚を相手にしていた。

自分で何とかしなくちゃ

大きく深呼吸をして落ち着ける。キッと睨み付けた金柑は刀を抜くも、四肢を使いながら路地裏に追い詰められる。金柑は空中に飛び上がりながら詠唱する。

「散在する獣の骨、尖塔、紅晶、鋼鉄の車輪
動けば風、止まれば空、槍打つ音色が虚城に満ちる
破道の六十三、雷吼砲」

破壊力のあるそれを上手く逸した虚は、翼を広げ金柑を追う。

空中で戦ったことあんまりないんだけど

「諦めろ大人しく喰われてしまえ」

そうはいかない!

虚は四肢の一つを触手に変え、伸ばしてくる。

ザシュッと斬り払うも、また更に生え変わる。

再生しなくて良いのに

目の前の触手を相手にしていた金柑を衝撃が襲った。

げほっ…っくっ…ゲホッ、えほっ!

肩口を見れば、自身の体には見慣れないモノが刺さっていた。

ヒュッと肩から抜かれた瞬間、またもや痛みが走り、血が死魄装を濡らす。

こんなに血が出たの久しぶり
痛いなんてもんじゃないよ…

柄を握り直し、構えた。

「熾きろ、蓮華丸」

淡く紫の光が刀身を一瞬包む。

「縛道の四、這縄」

触手を絡めとり、刀を平に構え、切っ先を相手に向けた。

肩やばい…

「二、波影」

ザザァという波音とともに、三本の水の刃が背を向ける虚を追う。体を貫くと共に虚は消え去った。

降り立ち、思わず塀にもたれ掛かった金柑だが、止血を施すも止まらない。

金柑は治癒を施そうと、拙い鬼道で押さえていく。濡れそぼる死魄装が、張り付いて不愉快だった。



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