11



仕事終わり、ルキアにご飯に誘われた金柑は、食事処前で待ち合わせた。

待たせたなと言って駆けてきたルキアに#NAME1##は、手を振った。

瀞霊廷内にあるこのお店には、死魄装をまとった者もいる。

二人、と言えばルキアが何かを言いかけた。

「恋次も来ると言っておるのだが…済まぬ」

二人は、奥に案内された。暫くしないうちに、阿散井が、悪いなと手を挙げて二人のところに来た。

「お前なぞ待ってはおらんっ」

待たせたな、とルキアの隣に座る阿散井。本日二度目、金柑はまたかと呆れた。

「へえへぇ、後から檜佐木先輩と乱菊さんが来るらしいんだけどよ」

そっぽを向くルキアを相手にせず、阿散井は告げた。金柑は目を見開いたが、ルキアはまたか、と諦めている。

仕方ないのか

金柑は、あまり面識のない面子に既に、心が折れた。

決める気力もなく、先にルキアに品書きを渡した。

奥と言っても、衝立がある訳でもない店。隣の席の集団の賑やかさに、驚いた。折れた心には、少々眩しい。

目の前では阿散井が、ルキアが受け取った御品書きを横からかっさらった。

「恋次」

「とんかつ定食だな、ルキアはどうすんだ?」

むくれるルキアに直ぐさま、返すと尋ねた。

「山菜おこわ定食にする、金柑は?」

広げられた品書きを指で辿り、好物の月見饂飩で止めた。

阿散井が、店員を呼んだ。紅の小袖に白い割烹着が店の指定らしく、纏めあげた髪だけが、席を案内した彼女と違った。

「とんかつ定食、山菜おこわ定食、月見饂飩を一つずつお願いします」

「はい かしこまりました」

阿散井の注文に、笑顔で受け答えた店員。阿散井は、可愛いなぁと呟いた。即座に金柑とルキアを敵に回したことに気付き、団子を追加した。


「うっせ、ルキアなんか隊長との話を会う度聞かせるんだぜ?」

まだあるのか

金柑は、二人の喧嘩や文句に苦笑した。

毎度のことながら、ネタにこと欠かない二人の関係が羨ましく思えた。

少しばかり上の空でいると、何やら入口が騒がしくなった。


金柑そっちのけでやり合う二人はさておき、と目をやれば、松本、檜佐木に斑目が賑やかに入ってきた。

「斑目三席もみえるぞ恋次」

気付いたルキアが、どういうことだと肘で脇腹をど突いた。

うめき声を抑え、多分捕まったんだなと脇腹を抑える。

最近よく顔を合わせるなぁ

金柑は、胃が痛んだ気がした。私がいてよいのか、とルキアが言った。そんなこと言ったら私の方がと金柑は益々、いたたまれなくなった。

「ごめんね、邪魔しちゃってさぁ」

「松本副隊長っ!そんなことはありません」

飛び跳ねるように立ち上がったルキアが言った。つられて立った金柑も、頭を下げた。

金柑の隣に檜佐木と松本が座り、阿散井の隣に斑目が座った。

賑やかだった店内が、更に賑やかになる。副隊長格が揃い、店員も頬を赤らめている。

「オレがいんのもおかしいだろうがよ」

「暇そうだったんで、ついね」

笑いながら檜佐木は、斑目を畳み掛けた。

「どうせ弓親も来るんでしょ?」

松本が斑目の持つ品書きを自分に見やすいようにした。

声はかけてきたぜ、と諦めたらしく阿散井の注文を尋ねる。

何にしようかしら、と鼻歌を歌う松本に押され気味の檜佐木は、阿散井と斑目の会話に加わった。

「松本は決まったのか?」

天麩羅定食があると知った檜佐木は、品書きを見ることなく決定。斑目は、恋次と一緒でいいやと。

「決まったわ」

松本が呼ぶと、店員はソワソワと伝票を取り出した。隣からは、松本副隊長だぜと興奮しているらしい声が聞こえる。

「えっと、とんかつ定食を二つと天麩羅定食一つで」

「お待ち下さいね」

「済まないが皆合わせてもらえぬでしょうか?」

「かしこまりました。」



「ねえねぇ 朽木ってさ朽木隊長のしゃべり方が移ったの?」

「こいつ 元々がこれなのに更にって感じっスよ」

「へぇ〜」

やはり変でしょうかとルキアは皆を見回した。そんなことないわよと不敵な笑みを浮かべながら松本は言った。

「ていうかさぁ、松本副隊長ってのやめてよん。乱菊で良いってば」

「ですが…」

駄目なのかしらと女性用の甘え声で上官。

「うっ、乱菊さんでよろしいでしょうか?」

金柑もよ、とクスクス笑っていた金柑はまさかの矛先にびっくりした。

「私なんかがそんな」

「上司命令にするわよっ」

「はひ、乱菊さんですよね」

「よろしいっ」

「そういや一角さん現世任務でしたっけ」

お冷やの入ったグラスをカラカラン言わせながら、檜佐木は言った。

「本当っスか!?一護によろしく言っておいて下さいよ」

「俺もたまには現世行きたいよ。朽木も現世には詳しいよな?」

「と言う程でもありませんが…しかし、金柑も行くそうで」

「そうなの?じゃお土産よろしくね」

「はい」

何が良いのだろうかと悩んでいると全員分の料理が運ばれてきた。

食器の音、周囲の声が心地良く金柑の体に染み込む。

そう言えば明日から行くって言ってなかった
まぁ、午後出立だし

金柑は一人の男の影を頭から押し出した。

「お腹いっぱいね」

「乱菊さんルキアとかウミノのを摘んでるからっスよ」

呆れたように阿散井は言う。

「檜佐木はしばらく離れられないね」

しばらくして、顔を出して加わった綾瀬川が言った。

「そうなんだよなぁ、たまには行きてぇなぁ」

「何度目だよ」

苦笑混じりに斑目が返す。

「決めた!!金柑っお土産よお土産っ」

思わず気の抜けた返事をするウミノに構わず、続ける。

「型紙っ!」

「何故ですか?」

聞き役にあったルキアが聞く。不敵な笑みを浮かべ、立ち上がり、その反動で椅子は倒れた。

「松本…何考えてんだ?」

「だぁかぁらぁ!!メイド服とかコスプレ用の雑誌くらいあるでしょ!」

彼らのいる卓は静まり返った。沈黙を破ったのは綾瀬川だった。

「何に使うのさ」

「ナイショよ内緒っ」

誰も逆らえない乱菊さんに、私が逆らえる訳ないじゃないの

「分かりました。探してきますね」

檜佐木副隊長そんな顔で見ないで下さい…
とりわけ日番谷隊長に迷惑がかかりませんように…



>>


//
熾きる目次
コンテンツトップ
サイトトップ
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -