09
「この書類を配達してきてもらえる?付箋がついてるから大丈夫だとおもうけど…封筒に入れていく?枚数多いし」
話しながら、机の横の棚から封筒を取り出した。
金柑は、阿近の言葉に腹が立っていた。
「ちょい待ち、確認しながら入れるわ、やっぱり少し待ってて」
その隙に、金柑は阿近を少しだけ恨んだ。
恨んだことが分かったら、やり返されそうだ
しばらく横で待っていると終わったらしく、ほいっと渡された。
「行ってきます」
封筒は七つあり、三、六、九、十、十一、十三番隊に分けられていた。
なかなか多いな
急ごう
封筒を抱えて隊舎に向かうと三番隊は、以前とは違う静けさが包んでいた。以前は、居眠り常習犯だった市丸がいた。
今は…
それでも市丸隊長は尊敬されていた訳だし
扉が少し開いていたので、顔を覗かせて声をかけた。
「失礼します。七番隊ウミノ金柑です。書類を届けに参りました。」
近くにいた隊員が、わざわざ吉良を呼んできた。
「金柑くん、七番隊だってね。ありがとう」
封筒の中身を確認し、微笑んでいる。金柑は、吉良の顔をジッと見ていた。
「確認したよ。また助けが必要になったら君を指名させてもらおうかな」
微笑んだまま封筒に書類をしまった吉良に私でよければと笑い返せば、ありがとうと飴を手渡された。内緒ね、と。
次は六番隊か…
そう言えば顔出してないなぁ
阿散井くんにはよく会うのになぁ
六番隊に向かい、先程のように扉を叩く。
「おっ金柑!出戻りか」
「こんにちは…阿散井副隊長、違いますから。書類です!ていうか…檜佐木副隊長?…あっ!こんにちは」
よっ、とばかりに片手をあげたのは檜佐木。金柑は、ひとまず阿散井に封筒の中身を確認してもらった。
「ウミノ、飲み会やるけどよ来るか」
ニッと笑いながら阿散井は朽木隊長に渡してくると続け、隊首室に行ってしまった。
「ウミノ飲めるのか?この前は最後の方で飲んだっきりだっただろ?」
「飲むと笑い上戸に泣き上戸になってしまうので…」
面白いなと檜佐木は、カラカラ笑った。
「面倒臭いだけですよ?副隊長に迷惑をかける訳にいきませんっ」
「そうか?限度は知ってるだろ?乱菊さんの前じゃ無駄だけどな」
遠い目をする檜佐木に金柑は、はぁと言うしかなかった。
「で、来るのか?檜佐木先輩それオレのお茶なんスけど…って鯛焼きも無いじゃないっスかっ」
私の知らない間に胃に消えたのね
「今度返す」
鯛焼きの包みがくしゃりと丸められた。
「お願いしますよ。あとどこに配るんだ?」
「九、十、十一、十三番隊ですね」
「封筒貸して」
檜佐木が手を差し出したので、金柑は封筒をのせた。中身を取り出して確認をした檜佐木は金柑に分かったと言い、しまった。
「飲み会、私も良いんでしょうか?」
「同期だから良いに決まってんだろ?良いっスよね先輩?」
ねぇと檜佐木の鯛焼きの包みを屑籠に投げた。
「今更じゃないか?」
「おうっ!」
「ありがとうございます」
一礼して去って行く金柑を見て阿散井が言った。
「アイツ飲むとやばいっスよ」
ふぅんと封筒を小脇に抱えた檜佐木は、どんなものかと考えていた。
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