04
翌朝、朝練をしようと支度をする真田を幸村が、呼んだ。
「彼女が出来たんだって」
何故と驚く真田に幸村は、珍しく早く来た赤也を見た。
「赤也ァァァ!」
制裁を下そうとする真田を仁王が、まあまぁと執り成す。
「今日は朝練より真田の話をしようか」
真田は練習が出来ないことは不満だったが、今の自分を救えるのは幸村や柳ぐらいしかいないと思った。
道理で皆、着替えていない訳だなと真田は、素直に従った。
「今時、付き合うっていったら男女の付き合いだろうに」
幸村は、時代錯誤しているチームメイトに悲しくなった。
「で、あの女子は誰なんじゃ」
仁王が体育座りのまま尋ねた。普段なら怒鳴る真田が静かな為、ここぞとばかりに寛ぎ、それは赤也や丸井も同様だった。
応じたのは、柳だ。
「良稚風子。2年F組だ。文芸部所属で、火曜から金曜は図書室にいる。性格は明るく、前向きで感受性豊か。男女の友人も多い。運動は苦手だ。誕生日は過ぎた為、省略。身長は151cm、体重は相応。女子の体重は公表などしない」
赤也は柳のデータにミスかと柳を見たが、当たり前だと窘められた。
「参謀と同じクラスじゃ」
丸井から奪ったガムを膨らませる仁王。
「あぁ、だからよく聞かれた。俺は良い奴だと思うが」
真田は頭を抱えていた。
(どうすべきなのか。やはり、誤解を解くべきだろう)
「そのうちに好きになるんじゃないのか」
ジャッカルは真田を見ると、睨まれた。
「良稚とやらに失礼だろうっ!」
普段の真田を見せたため、仁王はきちんと姿勢を正した。
「それは、真田もだろう」
グサリと幸村の言葉が真田に突き刺さった。
「友達からって言えば良いんじゃないですか」
赤也が、何を悩むのかというように提案した。
「そうだね、赤也にしては良いこと言うじゃないか」
クスリと笑う幸村に赤也は、背筋を伸ばす。
「泣く確率、流石に女子の感情を公にする訳にはいかないな」
真田は、はぁと溜息を吐いた。
「済まない、俺のためにわざわざ時間を割いてもらうなど…たるんどるっ!」
自分に喝を入れる真田を皆、生暖かい目で見守った。
その日、真田弦一郎一世一代の大勝負の日だと真田は意を決した。
(楽しんでいるだろう)(まさか、柳生の方が楽しそうじゃないの)(そんなことは)(奴さん、必死じゃのう)(どうにかするだろぃ、ジャッカルが)(ですよね、ジャッカル先輩!)(真田、応援するよ…)(む?)
作戦会議
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