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梅雨明けと同時に中学の大会がそこかしこで始まる。立海の運動部の気合いは満ち、朝から放課後の下校完了時刻ギリギリまで活気に溢れている。

「もうすぐ地区大会だね」

風子の隣で柳が、大崎を睨みつけている。
ご飯粒を飛ばしたのだ。

「あぁ、今年も全国制覇だ。地区大会なぞで止まらんっ」

真田は、綺麗な箸使いで摘んだ肉団子を口に入れた。

既に慣れ親しんだ昼の光景に、クラスの女子は幸村が来る日を待ち望んでいた。

一方で男子は、そんな様子に肩を落としながらも、幸村や栗田と走り回る。

「風子ちゃんは来る?あ、ちょっと!」

取り上げられた雑誌を取り替えそうと躍起になる幸村に、風子は家の用事がねと答えた。

(残念だな
見たかったのにさ)

風子は、もそもそとブロッコリーを咀嚼した。

(お塩がついてない…)

味気ないブロッコリーを終え、梅干しを摘んだ。

「まぁ、大丈夫だよ。俺達、強いから」

ね、真田と笑う幸村に柳がそうだなと箸をしまった。

真田は風子が来られないと知り、少々落ちた気分を持ち直させた。

「そうだな、その時は来るといい」

真田はそう言ってから、周りの生暖かい視線に気付いた。

(どうにも最近は、緩い鍛錬せねば、なるまい!)

風子のありがとうと微笑む姿に、どくりと跳ねた心臓を隠す。

真田は、気付いていた。
(女子だから、ではなく、単純に風子というこいつに惹かれている
話す内容は特になくとも、隣にいるだけで十分)

(これを、好きということなのだろうか
恐らく気付いてはいないだろうな)

自然と風子の周りに集まる男子や女子に、真田は驚いた。そして、羨ましいとも思った。

帰り道、二人だろうと皆と一緒だろうと楽しそうに笑う風子を見ると尚更、羨ましいと思った。

(何が羨ましいのか分からん
だが、心地好いのは確かだな)

真田は小さく、風子の名を呟いた。

(これからは暑くなる一方か)

じっとりと滲む汗を拭った。


梅雨明けて


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