お買い上げ毎度どうも!
「お待たせ〜」

ルフィたちがアウトドア用のテーブルや椅子を広げ、パラソルを設置したところで彼女が戻ったきた。その手には大きなやかんとバスケットが握られている。

「サンジくんが見てる間、これ飲んで待っててね」

そう言ってバスケットからティーポットやティーカップを取り出した。慣れた手つきでやかんからティーポットにお湯を注ぐ。するとなんとも言えない良い香りが近くに漂った。

「とってもいい香りね」

そうロビンが言うとソフィアはにこりと微笑んだ。

「そうでしょう。私の好きな組み合わせのスパイスティーなの。飲みやすくブレンドしてあるけど、苦手だったらミルクや砂糖を足して飲んでね」
「あ、ありがとう」

サンジがうずうずしているのを横目で見ながら、ソフィアはその場をナミに任せた。いつも自分がやっていることであり、またそれをナミにやらせるというのが心苦しかったのだろう。ソフィアはそんなサンジの方を振り向いた。

「じゃあサンジくん、行きましょうか」

船内にあるスパイスの貯蔵庫へ行こうと足を向けた瞬間、チョッパーがソフィアに話しかけた。

「なあ!」
「ん?どうしたの?チョッパーくん」

チョッパーはティーカップのお茶の匂いを嗅ぎながら口を開いた。

「このお茶からクローブの香りがするんだ。クローブには抗菌効果もあるし、もしあるなら俺それが欲しい!」

そう言ったチョッパーにソフィアは視線を合わせた。

「スパイスの中には、薬として使われてるものも多いから薬草も色々取り揃えてるわよ」
「俺も見に行っていいか!?」
「もちろん」
「チッ、ソフィアさんと二人きりじゃなくなっちまった…」

そう呟いてるサンジに微笑みながらも、チョッパーの手を取り、船の奥へと足を進めた。







「「すげえ……!」」

案内された部屋は床から天井まで壁一面棚になっていて、引き出しの数が果てしない。そんなに広くないとはいえすべての引き出しを開けていたら日が暮れてしまう。その引き出し一つ一つには小さな字でスパイスの名前や状態が書いてあった。

「ふふ、自由に見てもらって大丈夫よ。全然触ってもらっていいし、分からないことがあったら声をかけてね」

その言葉を聞いたサンジとチョッパーは棚を漁り始めた。ソフィアはドアに背中を預けてそれを見ている。

「ソフィアさん、これの粉末にする前のやつってあるかい?」
「つぶが残ってるやつってことよね?製粉前の乾燥させた実ならそっちの箱にあるわ」

棚に入り切らないスパイスも部屋の隅に木箱に入れられ積まれている。

「ソフィア!この葉っぱの茎の部分ってあるか?」
「それなら二つ隣の引き出しよ」
「ソフィアさん、これ少し柑橘っぽい匂いがするんだけど、何の料理に使われるものなんだ?」
「あ、それ珍しいでしょ。なかなか採れないやつだからね。それ匂いは柑橘っぽいんだけど、結構苦味が強いからデザートにはあまり向かないの。ムニエルとかの香草に混ぜると美味しいわよ」
「へえ、舐めてみてもいいかい?」
「ええどうぞ」
「なあなあソフィア、この薬草、前に見た打ち身に効くやつに似てるんだ。これの効能はなんだ?」
「ええ、正解よ。珍しいものなのによく知ってるわね」
「えへへ、そんな事言われても嬉しくないぞっ」
「ふふっ、とっても嬉しそうね」

矢継ぎ早に出てくる質問に答えながら、楽しそうな二人を見ていた。すると、廊下から声が聞こえてきた。

「アンタたちー!時間かかりすぎよ!いい加減にしなさーい!」
「あら、ナミちゃん怒ってるわね」

想像以上に時間が経っていたのだろう。淹れてあったお茶も終わってしまった頃だろうか。

「じゃあ、そろそろ終わりにしましょうか」
「でもまだ全部見れてないぞ!」

そう言いながら二人の両手には沢山のスパイスや薬草が収まりきらんばかりに乗っている。

「また来ればいいわ」

そう言って微笑むソフィアにサンジが口を開いた。

「でもソフィアさん、お互い船だからなかなか会えないんじゃ…」

互いに航海している身であるから、偶然出くわすのは奇跡に近い。

「大丈夫よ、ニュースクーから新聞買ってる?」
「あ、ああ。買える時は買ってるけど……」
「あれの広告欄に大体どこにいるか載せてるから、機会があったらまた会いましょう」

そう言うと二人は納得したように頷き、甲板へと足を向けた。





「えっ、そんな安くていいのかい?」
「俺の分、勘定に足すの忘れてないか!?」

代金を聞いた二人が慌てふためく姿を見てソフィアは笑った。

「大丈夫よ、サービスサービス。初めてのお客さんだしね。また来てくれればそれでいいわ」
「こんなにいいものをありがとう」
「いえいえ、どういたしてまして」
「お茶もとっても美味しかったわ」
「貴女にそう言ってもらえて嬉しいわ、ロビンさん」

スパイスをサニー号に詰め込み、みんなもそのまま船を移った。

「これでサンジのうまい飯がもっとうまくなるな!ソフィア!ありがとう!」
「いいえ、気をつけて行ってらっしゃい」
「おう!またな!」


買い上げ、まいどどうも!
またのお越しをお待ちしています


  

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