短編 | ナノ



もっと、少しだけ

※微エロ注意


手塚は何故こんなに色っぽいのだろう。例えば露出をしている訳でもないのに、何故かどうしても私は彼の姿に引かれてしまう。キチッと着ている制服のときも良い、少し余裕を持って着ているジャージも良い。制服だってジャージだって他の人も着るはずなのに何故か私は彼のその姿にだけ打ちのめされる。

ふと考察する。それはきっと雨で部活がなく誰もいない、昨日切れた蛍光灯のせいでじめじめした薄暗い部室に私と手塚が二人きりだからだ。薄暗いと、まぁ直球に言うならばむらむらする。

「ねぇ、手塚」
「何だ」
「目、瞑ってよ」

手塚は私の方を向いて、まるで頭にハテナマークを浮かべたように首をかしげた。そりゃそうだ。今はマネージャーである私と部長である彼によるミーティングの最中だ。それにも関わらず突然目を瞑れなんて可笑しい話である。

「少し意味が分からない」
「だめなの?」
「駄目というわけではないが……」
「あ、じゃあいいよ」

そう言って私は近くにあったタオルを手塚の方に投げた。もちろん洗濯済であるので安心してほしい。彼はそれを受けとると、何がしたい、と呟いた。それは少し呆れたような口振りだった。

「顔に巻いてよ」
「何の為だ」
「マネージャー辞めちゃうぞ」

見事な棒読みだったけれど手塚に冗談は通じないのだろう。渋々、といった表情で彼はタオルを顔に巻いた。キョンシーみたいである。そして彼が私の方を見えないのを良いことに、私は彼に一歩ずつ近寄る。

「ねぇ、何で男の人ってブラジャーつけないんだろうね」

そう、質問としても意味をなさないぐらいの質問を彼に投げ掛けると彼は、なっ……、と言葉に詰まった。そうやって戸惑ってるの方が魅力的かもしれない。そして私の出来心が、私の右手の人差し指を手塚の身体に向かわせた。つん、と予想した彼の右のそれを狙ってつつく。手塚は少し肩をびくりとさせた。

「な、何を……」
「いや、ちょっとね」

寧ろ言い訳になってないのだが、手塚は何故か大人しかった。正直予想が当たっているか当たっていないか分からないので、そこら辺にずっと指をすいすい泳がしていると少しずつ固くなっている部分があるのが分かった。手塚も感じたりするんだ。そして同時に予想が当たっていたことも分かった。服の上からも十分わかるそれを私は円を描くように撫で続ける。手塚は時折頭を動かして身をよじった。何て色っぽいんだろう。抵抗しない手塚に調子に乗り制服の学ランのボタンを外していった。そしてそのままワイシャツのボタンに手を掛けたところで手塚は私の手をとった。

「何をする気だ」
「……脱がす気だ」
「……やめないか」
「今まで身を委ねてたくせに」

そう言ってしまえば手塚は私の手を離し学ランを脱いでくれた。少し気になってタオルをチラッとめくってみれば少し照れたような手塚がいた。分かりにくい人なので勘違いかも知れない。それでも彼は止めなくなったので、私は彼の手をとり近くにあった椅子に座らせる。開いてもらった彼の足の間に膝で立った。ワイシャツのボタンを外すのは止めてズボンのなかに入れていたシャツをずるずると出した。裾から手を滑り込ませて下に何も来ていないことを確認する。そのまま上にずらせば直ぐに左右のそれに触れることができた。直に触れたせいか手塚はさっきより反応がよかった。

「ねぇ……いいの?」

少し甘えた声でそう聞いてみた。手塚は首を横に振ってみせた。良くないらしい。自分をテクニシャンだと思っているわけではないがそう言われると何だかムカつくものである。裾から手を出して、はやりボタンに手をかける。上三つくらいを外せば全て外さずとも手塚のそれは顔を見せた。先端には触らないで回りで円を描く。手塚は少し肩を動かすだけだった。ちょっとした好奇心で顔を近付けて、それにキスをしてみた。初めて、うっ、と声をあげた。それが面白くて少しペロリ、となめた。

「んっ……や、めろ……」

足を閉じようとする手塚だけれど間には私がいるので閉じることはできない。もしかして、と手を伸ばせば堅物な顔に似合わず元気だった。あ、まぁ字面で行くと同じくカタイブツだったので似合わずということもないのだが。彼は上も下も尖らして随分忙しい様だった。だから私も忙しくなるなぁ、と右のそれを上下の唇で挟みながら左のそれを左手の人差し指で先端を丸く撫でた。空いた右手は彼のズボンのベルトに手をかける。その時だった。

「……お前っ、はぁ……よくするのか……?こう、いったことを……んっ……」

余りにも唐突で予想外だった手塚の台詞に私はおもわず、今手塚にするのが初めてに決まってるでしょう、と口を滑らせてしまった。あちゃー、と思っていれば手塚は少し満足そうに微笑み_多分だけど微笑んでる……よね?_今まで大人しくしていたにも関わらず私の両手を払って抱き締めた。意味が分からない、と困惑しつつ手塚の身体を押し返すと次は頭上からキスが飛んできた。

「はい?」

頭にはてなを浮かべた私に彼は、出直してこよう、と言い残しワイシャツのボタンを閉めて部室から出ていった。


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