悠久の丘で
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17 「まるで病気のようだ」「其の通りなんだよ。」

「すっかり腑抜けたな」
「もう、本当に」
 ある、雨の降る湿気の多い日の午後、ヒュウガはアヤナミの私室にいた。
 机に向かうアヤナミのほうは見ず、ドアの方を向いて机に腰を下ろし両手を後ろについて、高い天井を見上げる。
「そういうアヤたんこそ、すっかり牙が落ちちゃったみたいだね。格好良かったのに」
「否定はしない」
 ため息をついた。
 今は恐らくコナツやハルセらのベグライターに囲まれ、クロユリとカツラギと楽しくお茶なんぞをしてそうな、1人の人間を思って、ため息をついた。
「…最近はため息しか付けなくなっている様だ」
 アヤナミがペンを置いて、頭を揉み解すように強弱を付けて揉んでいるのが分かった。

「ウソツキ。アヤたん、楽しそうに笑ってるくせに」
 あの子の前では。
「お前こそ、夜遊びは控えるようになったのか」
 後ろから刺されかねないほどの交友関係を築いていたな?

 アヤナミは意地悪く笑って見せた。
「もう、本当に病気みたいだよねー」
「あぁ…、もしかしたらその通りなのかもしれないな」
 もう1度ため息をついた。

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