悠久の丘で
 top about main link  index

Menu>>>name / トリコ /APH /other /stale /Odai:L/Odai:S /project /
  MainTop

大地の母

ライフストリーム
それは星を巡る命の流れ
星と、星に生きる全ての命の源です

神羅カンパニーは、ライフストリームを資源として使う方法を見つけました

そのおかげで、私達の生活はとても豊かになりました
でも、それは、星の命を削ること
そう考える人も大勢いました

神羅は、自分達に反対する人を力で抑えようとしました

神羅には、ソルジャーという、特別な兵士達がいました
大昔に空から降ってきて、この星を滅ぼそうとした災厄、ジェノバの細胞を埋め込んだ人たちです

その中にセフィロスという、とても優秀なソルジャーがいました
でも、自分が恐ろしい実験で生まれたことを知って、神羅を憎むようになりました
そしていつしか、全てを憎むようになってしまいました

神羅と神羅に反対する人たち
憎しみのあまり、星を破壊してしまおうとするセフィロス
セフィロスを止めようとする人たち
いくつもの戦いがありました

戦いの数だけ悲しみがありました
私が大好きだった人も、ライフストリームになってしまいました


そしてあの日
運命の日
全ての戦いを終わらせたのは、星自身の力でした
星はライフストリームを武器として使いました
地上に噴出したライフストリームは、争い、野望、悲しみ、全てを飲み込んでしまいました

悲しみとひきかえに、全部終わったんだよ。
そう言われたのは2年前でした




街がようやく活気を取り戻し、世界が受けた傷がようやく癒え始めた頃。
その頃の、お話です。


  *


「ねぇ、やっぱり、後悔した?」
クリスの苦笑した顔を直視できず、そむける。それでもきっと彼はわかっている。
だから、背の高い同僚の真ん中で、苦い顔を向けて困ったように頭をかいているのだ。
「いいよ、言っても。俺もこれは流石にできすぎかな?って思ったしさ。リーブさんに聞いたとき」


  *


日が落ちて暗い道なき道を、後ろにクリスを乗せて走る。
レノに言われて、今ここに自分は居る。
暗く、わずかに発光する木々の合間を縫って、バイクを走らせる。
「ね、クラウド」
後ろからの声にも耳を傾ける余裕なんて無いくらいに、頭の中で、処理できない感情が暴走していた。
真っ直ぐに前を向いているだけで気付かなかったのだが、後ろでクリスが小さく声を漏らした。
「…あ、強くなってる」
その言葉の意味に気付いたのは、眼前がホワイトアウトして、どこともわからない景色の中に放り出されてからだった。


  *


「来ちゃったね」
声は真後ろから聞こえた。
懐かしい声に後ろを振り返ろうとも、体が動かない。
「自分が壊れそうなのに、ね」
足元には花畑。かつて彼女が好きだった花達が、今も教会で咲き誇る花達が群れを成している。
ふと、左腕に、人特有の温かい体温を感じた。
「きっと良い事だよ」
彼女の言葉が染み渡るように耳に、体に、吸い込まれていく。
「ねぇ、質問!」
彼女が居た時と変わらない、明るい声。
「どうして来たのかな?」
そこまで来て、ようやく自分が答える番だと、頭の中で誰かの声が言った。
背に暖かい体温が感じられて、少し悩んで、答えた。
「…俺は許されたいんだと思う」
口に出せば、それに実感が持て、想像していた以上に言葉がしっくりくることがわかった。
「うん、俺は許されたい」
続けて、頷き、今度はもっとかみ締めるように言った。
背で、笑うような小さな振動を感じた。
「だれにー?」
そのおどけた感じが、本当に懐かしくて涙が出そうだった。
振り返り彼女だと確認しようとしたところで…。
彼女は居なかった。


  *


「あらあら」
「やっほー、クリス」
思わず笑った。
「どうしたのエアリス。全然変わりなくて可愛いね」
軽いノリで話しかけてきた彼女に笑った。彼女も綺麗に笑って、足元に咲き誇る花に手をやる。
少し唇を尖らせた感じに言われた言葉に、苦笑した。
「もう、クリスってばザックスに似てきた」
「それは…何なんだろうね。嬉しいって、言っていいのかな?」
「いいんじゃない?…女タラシだけど」
「違いないね」
小さく付け加えられた言葉にも笑って、エアリスを見る。
「で、エアリスが出てきたってことは、やっぱりあの子関連なのかな」
「クラウドもセフィロスも、成長しないんだもの」
「もうすっかりお母さんみたいだね」
「あんな大きな子、いりません」
エアリスが、本当に子供でもいるかのように、優しく笑った。
記憶の中にはどうしても笑ったエアリスの顔がダントツで多い。
見たことがないのは、泣いた顔。
エアリスは強い女性だ。
…そう、思っていた。
「エアリス、さびしそうな顔するんだな」
その言葉に、エアリスはバツが悪そうに見た。
「やっぱり、あっちはつまらない?…ザックスもセフィロスもいるみたいだけどさ」
夢にまで出てきて、雑談を交わしてくれるザックスとセフィロスを脳裏に思い描いた。
2人の目もそうだ。
楽しそうに会話をしながらでも、どこか目がさびしい。
「…そっか、クリスって勘が良かったんだっけ。ザックスに聞いてたのにな」
「本当に嫌になるくらい、だろ?」
「そう、そう言ってた。そう思うな、確かに」
「俺も思うよ。こんなに鋭い勘なんてもって生まれなければ、どれだけ気付かなくていい事で世界は溢れてるんだろう、って」
でも、それがあったから知ることもあるんだけどな。
付け加えたら、エアリスは頷いた。
「クリス、強いね」
「強くなんかねぇよ。…まだ隣にいた人の事を探しちまう時がある。でも、そう見えるんだったら…」
レノの事を、ルーファウスの事を思った。
タークス、WRO局長、かつて武器を交わらせた人々。
「そう見えるんだったら、俺を支えてくれる人のおかげだな。もちろん、エアリス達も含めて」
エアリスはあっけに取られたように目を見開いていたが、次第に目を細まらせて笑った。
「はははっ、だったら大丈夫だね、あの子も」
「何言ってるの、エアリスのおかげだよ。あいつがどれだけ協会に行ってるのか、知ってるだろ?」
「…でも私は一緒にいて上げられないから」
「問題ないだろ、見えなくても一緒にいる。その証拠に、あいつは躓きながらだって歩いてるじゃん。
此処に来たのだって、あいつの意思だぜ?」
「そうかな…?」
「そうだって、自信持ちなって。なぁ大地の母」
「その呼び方は慣れないのっ」
「な?その調子、その調子。きっと、いや、絶対。あいつはエアリスを忘れた日なんてないよ」
「…うん。あ、そうだクリス」
今までしゃがんでいたエアリスが立ち上がった。
「辛いかもしれないけど、頑張ってね。応援ぐらいしか出来ないけど、応援してるから」
その言葉に笑った。
「大丈夫だって。応援してくれるんだろ?それにセフィロスに約束だってしちゃったし、さ」
くるりと背を向けて、背中越しに手を振る。
「俺は俺なりに頑張ってくるよ」

もう1度振り返った時には、もう彼女はいなかった。
だけど、きっと気のせいじゃないだろう。

「頑張って」

そう、最後に彼女の声が聞こえた。

<<< 






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -