悠久の丘で
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常にあんな感じ

ライフストリーム
それは星を巡る命の流れ
星と、星に生きる全ての命の源です

神羅カンパニーは、ライフストリームを資源として使う方法を見つけました

そのおかげで、私達の生活はとても豊かになりました
でも、それは、星の命を削ること
そう考える人も大勢いました

神羅は、自分達に反対する人を力で抑えようとしました

神羅には、ソルジャーという、特別な兵士達がいました
大昔に空から降ってきて、この星を滅ぼそうとした災厄、ジェノバの細胞を埋め込んだ人たちです

その中にセフィロスという、とても優秀なソルジャーがいました
でも、自分が恐ろしい実験で生まれたことを知って、神羅を憎むようになりました
そしていつしか、全てを憎むようになってしまいました

神羅と神羅に反対する人たち
憎しみのあまり、星を破壊してしまおうとするセフィロス
セフィロスを止めようとする人たち
いくつもの戦いがありました

戦いの数だけ悲しみがありました
私が大好きだった人も、ライフストリームになってしまいました


そしてあの日
運命の日
全ての戦いを終わらせたのは、星自身の力でした
星はライフストリームを武器として使いました
地上に噴出したライフストリームは、争い、野望、悲しみ、全てを飲み込んでしまいました

悲しみとひきかえに、全部終わったんだよ。
そう言われたのは2年前でした




街がようやく活気を取り戻し、世界が受けた傷がようやく癒え始めた頃。
その頃の、お話です。


  *


ヒーリンを出た。クラウドの運転するバイクの後ろに飛び乗って最後に目に映ったのは、心配そうで、それでいて憮然とした表情のレノの顔だった。
それを見て笑う。



ほら、今生の別れとかじゃないんだからさ。
そんな泣きそうな顔するなよ。
俺はお前がいない所でなんか死なないからさ。



決して口になんて出さないけど、そういう意味を込めて笑った。
「じゃあ行ってくるな?ぜーんぶ終わったら、皆で酒でも飲みに行こうぜ」
レノの後ろにいるであろうルーファウスと、危なっかしい相棒から半歩下がった位置にいるルードに、そしてレノに向けてそう、言った。
クラウドは悟られない程度に小さく笑っていた。預けた背を通して伝わる小刻みに揺れる背で、それを知る。
「…クラウドー、笑うなよ」
「…いや、いつもそんな感じなのか?」
「…そんな?あー…、あんな感じかも」
どれの事を言っているのかが分からなかったが、今の事だったらいつもそんな感じだ。

常にあんな感じだ。
基本姿勢だ。

すごい早さで変わって行く風景を目で追いつつ、答える。
ヒーリンの緑の多い風景が、だんだんと色気なくなって来た。
次第に増していくのは土の色で、その間に時折、頑丈そうでありながら脆さを隠し持つ岩石の色が混じる。
「ん…、どこ行くんだ?戻るにしたって遠回りだろ。こっちは――…」
最後まで言い終わらないうちに、クラウドが言葉を繋げた。
「ザックスの墓…、か?さっき見た時に剣が倒れてた…気がしたんだ」
「ふぅーん?まぁ、墓参りも良いか、毎日来てやれる訳じゃないしな」
本当は毎日でも行ってやりたいんだけどな。
小さく呟いて、クリスは背で器用にバランスを取り、目を瞑る。

こんなにエッジから離れていなければ。
せめて何時に終わる任務か分かれば。
夢の様だけど、毎日でも来てやれるのかもしれない。

本当に夢の様な話で、現実味はこれっぽっちもないのだけれど。
それでも、もし叶うのなら――…。

細葉百日草と女郎花とくちなしで少しでも彩りを与えようとした剣の回りを思い出した。
土地と風が原因なのか芽を出す前にやられてしまった植物達とは違い、綺麗な花まで咲かせてくれた三種の彩り。
明るい色がかつての彼を連想させて、納得がいった。


岩の多い地面を土煙を巻き上げながら走る。
少し前にココを通ったときよりも静かに走るためそれほど土煙も巻き起こらず、後ろを向いていても咳き込むようなことはなかった。
「なぁクラウドー…」
空を見上げれば滅多な事では見れなかった青い青いどこまでも続く、空。
ザックスのことを思い出して、連鎖でセフィロスのことも思い出して物悲しい気分になる。

ああ、この空を。

「何だ?」
クラウドの声が優しい。
思わず気が抜けて、背を丸めて、それから頭を振って答えた。

見せたかったな。

「ザックスのこと、好きか?」
ゆっくりと時間が流れているみたいだった。
ゆっくりで、ゆっくりで、耳に届く風を切る音すらも聞こえなかったくらい。
その最後に、クラウドは聞き取れるか聞き取れないか微妙な位の、不親切な声で言った。

「……あぁ、尊敬は、している」
「ふぅん?良かった」

素直じゃないな、と思って、エアリスを思い出した。
彼女も、そんなこと言っていた気がする。
「早いもんだよな、もう、2年か」

彼女が笑って、居なくなって。
世界がこんな姿になった。


「生きてるって良いもんだよな」
誰に言われるでもなく、切に、そう思った。


「…着いたぞ」
クラウドは何も返さずにただ、バイクを止める。
その声に前を向けば確かに見覚えが良くある花畑と、その中に倒れこんだ剣が見えた。
「あ、本当に倒れてる。よく見えたよな、あんな所から」
バイクから降り、地面を靴で踏みしめて歩いた。サクサクッという軽い音が靴の下から聞こえて笑った。
クラウドは何も言わずに進み、剣を拾い上げて元の位置と少しはなれた土が剣を支えられるほどに固い場所にザクッと刺した。
微風が起こり、花が首をかしげるように揺れた。

「…あんたの分まで生きよう。……そう決めたのにな」

遠くに見えるエッジと、巻き起こる竜巻状の土煙を見てその言葉を聴かないふりをした。
深刻そうに悩んでいるような顔をしているクラウドを見て、無意識のうちに足が一歩下がる。

あの言葉は俺が聞くべき言葉ではないだろうから。
だから、耳をふさぐように気になんかせず、前を見た。


  *


まだ日が高い。
疾走するバイクの後ろでクリスは寝そうになりながら、必死に眠気と戦いクラウドに聞いてみた。
「なぁ、次どこ行くの?」
「教会だ、…ミッドガルの。そこで寝泊りをしているからな、嫌だったらエッジまで送るぞ?
野宿の状態の近いものがあるから強制など出来ないだろ?」
「あ、そう?じゃぁ教会まで直行だな、野宿なんて珍しいもんじゃねぇしさ」
ぶっちゃけ任務のときに宿があるほうが珍しい。
クリスが後ろで苦笑して言うのを聞いて、少なからず驚いていた。

曰く、
『そんなこと、よくルーファウスが許したな…』と。

アイツのことだから何が何でも宿を取らせているのかと思っていた。
でも、それも違ったらしい。
少しルーファウスの認識を改めようと、小さく胸の中で思った。


  *


「…全然変わんないんだ?ここは」
エアリスがここに居たときとちっとも変わってない気がする。
クリスが教会に足を踏み入れたときの最初の言葉だった。
確かに今も変わらず花は咲き乱れ、元から崩れかけていた教会にメテオやらライフストリームやらの被害の色はそんなに色濃く見えることはない。
「何故だか…花は咲いてくるんだ、いつの季節でも」
床が剣やら色々なものの重みで少し沈む。

「…クラウド」
突然、クリスの真面目な声で呼び止められた。
何事かと思って振り返ると、スーツのポケットから支給品らしい携帯を取り出してどこかにかけている。
「…そこ、誰か倒れてるぞ」
指差されたほうを、指を追って見て走る。
花畑の中に倒れている長い黒髪を見て慌てて抱き起こした。

「ティファ?」

反応が全くない。
クラウドは手や足に走る傷を見て、顔にもそれがあることを認識した。
明らかに、たいして時間が経っていない、傷。
「ティファ!!」
クラウドは強く呼び、細く華奢な体を揺らした。
呼び声が意識まで到達したのか、ティファが薄く目を開ける。

「遅いよ…」
「誰がやった?」
「知らない奴」

抱き寄せるクラウドを跳ね除けるようにして、いきなりティファが跳ね起きた。

「マリン!?」

だが、それもかなわずすぐに気を失う。
すばやく目で教会内を探ると教会が荒らされている事に気付いた。
置いてあったはずのマテリアの入った箱もどこかにいってしまっているようで見渡す限りでは見当たらない。
「くそ!」
思わず強い口調で毒を吐いてから、急激に襲った痛みに左腕を押さえて倒れこむ。
痛みで意識が遠のく。

確かそこらにクリスが居たはず…

思っても体は動かず、半ば強制的に意識は堕ちていく。
クラウドが知る最後の記憶は、入り口付近に誰かが来たところで終わっていた。




「あーあ…、ったくレノ、ルード、今暇…だよな?至急ミッドガルの教会跡に来てくれ」
『はぁー?』
「つべこべ言わないで、クラウドとティファが倒れちまったんだからしょうがないだろ?
あと、俺今ケアルラまでのマテリアしか持ってないからケアルガ使えるマテリアも持ってきて。
ん?応急処置程度にしかなんねぇっての。ん、よろしく」
通話を終わらせ、ニ人に走りよる。
そして、マテリアに力を込めた。
正直自分自身の限界までケアルをかけたところで、二人の怪我、および疲れまで取れるとは思えない。
苦笑とため息を混ぜ、それ以上は喋らずクリスはマテリアに力を込めることだけに集中する。
どうせ同僚が来てくれるんだ。多少無茶したって許されるだろう。


薄い緑色の柔らかな光が、二人を包んで消えた。

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