悠久の丘で
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世界の再建

ライフストリーム
それは星を巡る命の流れ
星と、星に生きる全ての命の源です

神羅カンパニーは、ライフストリームを資源として使う方法を見つけました

そのおかげで、私達の生活はとても豊かになりました
でも、それは、星の命を削ること
そう考える人も大勢いました

神羅は、自分達に反対する人を力で抑えようとしました

神羅には、ソルジャーという、特別な兵士達がいました
大昔に空から降ってきて、この星を滅ぼそうとした災厄、ジェノバの細胞を埋め込んだ人たちです

その中にセフィロスという、とても優秀なソルジャーがいました
でも、自分が恐ろしい実験で生まれたことを知って、神羅を憎むようになりました
そしていつしか、全てを憎むようになってしまいました

神羅と神羅に反対する人たち
憎しみのあまり、星を破壊してしまおうとするセフィロス
セフィロスを止めようとする人たち
いくつもの戦いがありました

戦いの数だけ悲しみがありました
私が大好きだった人も、ライフストリームになってしまいました


そしてあの日
運命の日
全ての戦いを終わらせたのは、星自身の力でした
星はライフストリームを武器として使いました
地上に噴出したライフストリームは、争い、野望、悲しみ、全てを飲み込んでしまいました

悲しみとひきかえに、全部終わったんだよ。
そう言われたのは2年前でした




街がようやく活気を取り戻し、世界が受けた傷がようやく癒え始めた頃。
その頃の、お話です。


  *


「…取り敢えず」
ルーファウスが、1つ咳をして話を元に戻した。
レノを思っていた思考回路をルーファウスに向ける。
「我々はそれの第一歩として、セフィロスが残した影響の調査を始めた」
「北の大空洞だぞ、と」
扉越しに聞こえるレノの声はどこか不貞腐れたようで、先ほどの事が尾を引いているのがよく分かった。思わず唇が苦笑の形にゆがむ。
「何があったと思う?」
ルーファウスが歌うように言った。それはこちらが知り得ない情報を出し惜しみするかのようにも聞こえた。だが、ルーファウスは軽く頭を振った。
「何も、何も無かった。安心して良い」
社長に就いたのが2年前。
思えば彼の社長としての生活も長かったんだろう。まだ歳若い、社長。
傀儡として操る事ができなかった、意志の強い、社長。
「しかし、予期せぬことが起こった。邪魔が入ったのだ」
彼はため息をついた。
よほど自らの引いたレールの上をきちんと進んでいかない物事が気に食わないのか、それとも…。

楽しんでいるのか。

いくらクラウドでもいくらか離れ、顔までシーツで隠した人間の思考なんてわからない。
「お前たちを襲った奴ら…、カダージュの一味だ」
「…カダージュ……」

決して襲われるような事はしていない、と思う。
しかもあんな若者に。
銀髪の男たち。


凡そ、自分が”兄さん”と呼ばれる理由が分からなかった。
弟がいた何ていう事実を母さんから1度も聞いていない。
第一、あの銀髪。
思い出すのは、かつての英雄の姿だ。


「我々の計画を邪魔するのが目的らしい。…まったく、わけがわからん」
ルーファウスが煩わしそうに首を傾いだ。
「どうして俺まで襲われるんだ」
だからクリスまで怪我をして、入り口のところでレノに殺されかけたんじゃないか。
それに関しては、すんごいムカついてるぞ。

「だって、俺たちの仲間だろ?」
「……お前がソレを言うのか?」
思わず声のした扉の方を振り返って聞いた。

じゃぁ俺はついさっき、その仲間に殺されかけたのか。
何もいわずに。弁解の余地も無く。


…ほぉ―――――?



ムカついて、踵でドアを蹴った。

「…カダージュたちは若く、凶暴だ。危険極まりない。
そこで私たちは、腕のたつボディーガードを雇う事にした」
生憎と、今はこうしてタークスをボディーガードにつけているが、彼らも忙しい身でな。
じっと後ろに注がれる視線に気付いてか、ルーファウスはそう言って手を広げた。
後ろにいるルードは気まずく視線を避ける。

「お前しかいない。頼む、元ソルジャー、クラウド」
「自称、な」

クリスと約束したのは此処まで。
話を聞く事全てが終わったので帰ろうと振り返り、ドアに手を伸ばす。
その手を途中で止めて、クラウドはルーファウスを見た。

「母さん…って、何の事だ?」
「こんな世の中だ、肉親を求める子供など沢山いるだろう。
クリスに向けた”姉”というのも、その一部だろうな。」
酷くつまらなげに、ルーファウスは言う。
なんでもないもの、としてソレを片付けて。
若い社長は続けた。



「お前は孤児たちと住んでいるそうだな。その子たちに笑顔を取り戻してやりたくはないか?」
誘い文句としては上出来な、揺らいでしまいそうな、言葉。


「我々の最終目的は世界の再建だ、クラウド」



―――――――――――彼女がまだいた頃の。
彼女の愛した。


この、壊れた世界。
星痕に悩む子供などいない、せめてミッドガルが存在した頃の世界に。
戻るのか?と、悩んでしまう。






―――子たちに笑顔を取り戻してやりたくはないか?
イエス。








マリンが毎日不安そうにデンゼルの看病などしなくて良い、世界。

ソレができるなら、俺は…








「俺は…」
「頼む、クラウド。神羅カンパニーの再建だぞ、と」












揺らいでいた意識が固まった。止まっていた手がドアノブを握る。
だから、切り捨てた。



「興味ないね」




「レノ!」
後ろで紅髪の同僚に非難の色を隠せない2人の声を聞いた。


  *


「クーラーウードー」
立ち去ろうとした先に呼ぶ声がして、面を上げる。
「…断った事、非難される覚えは無いぞ」
「知ってる、知ってる。それに関しては何も文句ねぇよ」
あれはレノが悪い。
クリスは階段に腰を下ろして笑っていた。
「大丈夫だって、ルーファウスだって理解してる。あの程度でお前を丸め込めるとも思ってないだろうさ」
「丸め込む…ってのは、なんか酷くないか?」

「でも、ほら」

よっと、小さく掛け声をかけて立ち上がる。銀の髪が広がった。
「クラウドって、頑固だから」
頑固、という言葉に軽く眉をひそめた。よった眉を見て、クリスは笑う。
「あははっ!エアリスが言ってた通り。あと…セフィロスも、ザックスも」
益々よった眉を見て、クリスは流石に苦笑した。

恐らくソレは…、何で眉がよったかを的確に知っているからだろう。

「セフィロスのこと、あんま憎まないでやってな?…無理だって事は分かってるけど」
小さく呟くように、少しずつ。


「ほら、俺って結構タークスとして長いからさ?ニブルヘイムの事件の時より前にいるから、ちゃんと普通だった時のセフィロスも知ってるじゃんか」

ちなみに、まだ初々しかった神羅兵のクラウドも覚えてるぞ、といわれて、一歩後ずさる。


…正直言って忘れて貰いたかった。
あんな昔の事。


「…初々しいって、クリスだって変わらなかったじゃないか」
「……さあね、そんな事忘れちゃったぞ」
唯一言い返せた言葉には、同じような言葉で返された。

「言ってたぞ、2人共。新人兵の事ばっか話されて、良く分からなくて、俺は見に行ったんだからな」
「な…っ!?」
「ザックスとセフィロスに連れられてな?わくわくしながら見に行った」

そのときの事を思い出したのか、くすくすと楽しそうに笑って。
クラウドは苦虫でも噛んだかのような、微妙な顔。

「そのとき、クラウドは上司に怒られてた」
「う…」
何回か、そんな事が思い当たって、うめく。
「でも、見てて良く分かった」



まだ若い、同じ年だという少年が思いっきり肉体労働しているのを見て、びっくりした。
怒られる少年に同情の念も沸いた時。
両脇に立ってそれを見ていた、少年の先輩たちが笑って頭を撫でた。

「あいつなー?要領悪くてよく怒られてるんだよ」
「それに、要領が悪いせいでやらなくても良い仕事を押し付けられたり…、な」
クスクスと笑って頭を撫でる年上の友人たちに、頬を膨らませて聞いた。

”そんなの、あいつのせいじゃないじゃないか。セフィロスや…、ザックスはそういうの、止めないのか?”

「だぁかーら、見てみ?」
ザックスの言葉で壁の脇から覗いてみたのは、何も文句一つ言わず仕事をこなす少年の姿。
「あぁして仕事をこなす事に、そのうち技術の差が出てくる。あいつは少しの時間をも惜しんで…我々に追いつこうと必死にもがいている」
「適正…とかってのがなければ、…いやあいつだったらそれすらなくたって、俺たちのところに追いついてくるんじゃないか?

あいつにだけは、追いつかれそうで本当に楽しみなんだ」
楽しみだと語る友人たちは楽しそうだった。
だから…、興味が出て、時折彼らに会いに行くときに見に行ったりもした。


それで、やっとわかった。


「あぁ、こいつは本当にセフィロスとザックスに追いつくだろう。
確かに、あの時にあいつらが言ってたことは本当だったんだ…って。」


何年も前。
ただひたすらに、がむしゃらにソルジャーになりたかったあの頃。
あの時の目標たちが、どんな事を言っていたかなんて、今じゃもう分からない。

その本人たちは、もういない。

「クラウドがセフィロスを恨む気持ちも、少しは分かるけど。…あんまり恨まないでやってくれよな?」



そんなことは、もう無理だけど。
もう、彼を信じる事なんてできないだろうけど。
彼と、自分を恨む事でしか、明日になんて踏み出せないけど。


それでも…



それでも、今の一瞬だけは。
優しい頃の彼を思い浮かべる事もできたかな、と。


思った。





「…どうするんだ?これからは」
無理矢理話をそらして。
「んー…、クラウド担当だから、俺」
その話にそのまま続けてくれた。
「…俺担当?」
「そ。クラウドについていきなさい、って、ルーファウスに言われてる。
…だから、迷惑じゃなきゃ一緒に行動したいんだけど」

その答えを聞いて、満足がいってそのまま階段を下りて、止めておいたバイクまで歩く。
そして、階段の上で身を乗り出してその様子を眺めていたらしいクリスを呼んだ。
「何してる、行くんだろ?」
「おう!」


ヒーリンを後にした。

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