悠久の丘で
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世界に対しての大きな借り

ライフストリーム
それは星を巡る命の流れ
星と、星に生きる全ての命の源です

神羅カンパニーは、ライフストリームを資源として使う方法を見つけました

そのおかげで、私達の生活はとても豊かになりました
でも、それは、星の命を削ること
そう考える人も大勢いました

神羅は、自分達に反対する人を力で抑えようとしました

神羅には、ソルジャーという、特別な兵士達がいました
大昔に空から降ってきて、この星を滅ぼそうとした災厄、ジェノバの細胞を埋め込んだ人たちです

その中にセフィロスという、とても優秀なソルジャーがいました
でも、自分が恐ろしい実験で生まれたことを知って、神羅を憎むようになりました
そしていつしか、全てを憎むようになってしまいました

神羅と神羅に反対する人たち
憎しみのあまり、星を破壊してしまおうとするセフィロス
セフィロスを止めようとする人たち
いくつもの戦いがありました

戦いの数だけ悲しみがありました
私が大好きだった人も、ライフストリームになってしまいました


そしてあの日
運命の日
全ての戦いを終わらせたのは、星自身の力でした
星はライフストリームを武器として使いました
地上に噴出したライフストリームは、争い、野望、悲しみ、全てを飲み込んでしまいました

悲しみとひきかえに、全部終わったんだよ。
そう言われたのは2年前でした




街がようやく活気を取り戻し、世界が受けた傷がようやく癒え始めた頃。
その頃の、お話です。


  *


突然引き上げた男たちを怪訝な顔で見送った後、クラウドはクリスの案内で、ヒーリンに向けて走っていた。
生い茂る木々を抜けた後に見えてきたのは、1つの案内板。

『ヒーリン・ロッジ/星痕症候群保養所/我ら静寂を愛す』

「もう少し行ったらルーファウスがいる。そこで…聞きたい事聞いてくれ」
クリスはめっきり静かになった。あの…、男たちの襲撃の後から。

「兄さん」と「姉さん」。
不可解な、単語。
第一、クラウドには弟など居ないし、クリスにいたっては弟、という以前に男か女の問題がある。
それに、その後彼らは何も言わぬまま、顔に歓喜を残して去っていってしまった。
謎は深まるばかりである。




そしてそのままヒーリンの中へと入っていく。
「あっ、ここ」
クリスの声で、バイクを止めた。
クリスの案内でドアをくぐったクラウドを待っていたのはレノだった。
懐かしい紅髪が愛器を肩に笑っていた。
そして、クリスが入ってきた時点で、その表情が一気に崩れる。


「クリス―――っ!!」
クラウドを完全に無視して、クリスめがけて走り、そのまま押し倒す勢いで抱きつく。
クリスはその腕の中で精一杯の簡単な抵抗を見せていた。
「ちょ…っ、レノ!クラウド居るから!」
「関係ないんだぞ、と。だいたい社長も酷いっての。どうしてクリスがお使いなんか…」
「俺が居場所を知ってたからだって」
クリスが酷く苦笑して、上に覆いかぶさる紅のワンコをなだめている。
笑って、目で謝られた。

「ん…?クリスココどうしたんだ?」

レノが、あるものに気付いた。…………それは色の白い肌に走る1本の紅い筋。
げっ、と、クリスが誰にでも分かるくらいに顔を崩した。そしてその傷をレノの視線からかばうように手で押さえ、取り繕うように笑う。
「なっ…なんでもねぇよ!ほらレノ、ルーファウスが待ってるんだろ?」
「その怪我…、どうしたんだ?と」
でも、遅かったみたいだ。
レノが半眼になってクリスを追い詰めている。そしてそれを苦笑しながら宥める様に手でレノを押さえつつ、後退していくクリス。
ふいに視線がこちらを向いた。


そして、いきなりロッドを振るわれる。



「うぉりゃぁ――!!」
「なっ…!!?」


クラウドは素早く剣を抜いた。何か、命にかかわりそうだった。
剣を抜くが、決して攻撃しないように避ける。でも、一応撃退体勢だ。


「まさかクラウドがアレ、つけたわけじゃないよな、と」
「ち、違う!!」


大体アレは刀傷なんかじゃないし、それ以前に傷付ける様な事しようとも思わない。
そうは言っても、レノの目は未だ好戦的な其れで。
言い訳なんか聞いてくれそうに無かった。
ちらりと視線を外にやれば、クリスが戸惑ったように視線を泳がせ心配そうにこちらを見ていた。
「レノ、これ刀傷じゃねぇぞっ」
頭の冷えない、血の上りやすい同僚に声をかけるクリス。
でも、それもあまり効を成したとはいえない。なぜなら、レノに声は聞こえて居なさそうだからだ。

「ちっ」
小さく舌打ちをした。
確かに傷を付けるような事になったのは俺のせいかもしれなくて、それであの弾も斬っていれば良かったのかも知れないが。
でも、もう起こってしまった事に文句をつけても仕方が無い。

飛び掛ってきたレノを軽くサイドステップを踏んで避ける。
クリスの手前、剣を振るう事もできないし、やろうとも思わない。
形だけ抜刀して、そのまま剣を使わずに避ける。

「ぉ…、っと?」
「あ…」
スピードが、そこそこについていたんだろう。
レノはそのまま勢いあまって外へと出て行く。いきなり避けられたのも、計算外だったんだろう。
そしてそれをクリスと共に呆れた視線を送りながら見て…、ドアを後ろ手で閉めた。
ドンドンドンッ、とドアを叩く荒い音が真後ろから聞こえた。

「…えっと、サンキューな?レノを傷つけないでくれて」
「いや、礼を言われるほどの事でもない」
なんか最後はやけにあっけなかったし。

「クラウド!クリスと2人っきりになるな!!」
何かやけに後ろがうるさかった。だから、鍵も閉めてみる。
それを見て、クリスは苦笑して鍵を開け出て行った。
出て行く際振り返り、言われる。
「鍵、レノが落ち着くまで俺は外にいるから、閉めといてな?」
それに頷いて、クリスが出て行った後ドアの鍵を閉め、部屋を見渡した。
だが、いくら見渡しても無人。
次の部屋へと続くドアを見つけ見つめていると、急にドアが開いて、見慣れたスキンヘッドが出てきた。
彼とも2年ぶりぐらいか。
全く変わっていないようで、声も呆れ口調になる。

「…あんたか」


  *


「さすがだ、自称元ソルジャー」
懐かしい、声がした。
2年前、父親が殺された後にすぐその座に付いた、神羅カンパニーを統べる男の声。
恐怖で民を支配しようとしたが、狂気の英雄のせいで結果的には民をその力で救う事となった、彼。
だが隣の部屋から現れたのは、クラウドの良く知る彼ではなかった。
車椅子によっての歩行。
頭からかぶせられた顔すらも出さないような白い布。
唯一むき出しになった右手の甲には、クラウドも良く知るもの。
「腕は鈍っていないようだな」
「…ルーファウス、なのか?」
ルーファウスはただそれに、肩をすくめる動作のみで返した。


  *


「あの日私は…」
「俺に何のようだ?」
ルーファウスの声をさえぎるように言葉をつむぐ。

彼を見ると、尚あの時に亡くした”大事な人”を思い出した。
彼にあったのは2年前が最後。
それに伴う記憶が2年前であるのも仕方がない事の様にも思えてくる。
思い出した記憶は、脳に嫌というほど鮮明な映像を見せた。

「ビルが崩れる直前に…」
「俺とクリスを襲った奴は?」
「クリスも襲われたのか!?」
後ろから上がった非難の声を、ドアを蹴って黙らせる。
「…何とか逃げ出し」
「帰るぞ」
おそらく今頃ドアの外ではクリスが苦笑しながら、レノの頭でもなでながら宥めすかしているのだろう。さっきの忠犬ぶりを見て、クラウドはそう思った。

「……人の話は最後まで聞けと教わらなかったのか?…まぁ良い。おまえの力を貸してくれ」
悉く言葉を遮られて、流石のルーファウスも喋る気にはなれなかったらしい。
重くため息をついて、話を先へと移した。
「興味な…」
「我ら神羅カンパニーは世界に対して大きな借りがある」
今度はルーファウスがクラウドの言葉を遮った。
何を言うのかと、クラウドも一応黙り、その声に耳を傾ける。
「世界をこの様な惨めな状態にした責任は我々にあるといわれても仕方あるまい。
よって、この負債はなんとしても返さなければならんのだ」

「開けてくれよ」
後ろからノックと共に、いくらか落ち着いたレノの声がした。でも、皆で無視し、話を先に進めようとする。
「あっ、クラウドいつまでも怒ってるんじゃないぞ、と!誰だって、間違えることはあるぞ」
間違えで殺したら裁判では勝てるのだろうか。
さっきのレノの攻撃はそれくらい危険をはらんでいた。
だって、鉄の棒。それを勢い良く振り下ろされ、しかも彼はそれを愛器としている。
威力が増したって、なんの不思議も無い。
きちんと当たっていたら、いくら元ソルジャーでも耐えられる物とそうでない物があるはずだ。

「…あいつの事は敢えて無視してくれて良い」
ルーファウスは苦い声で、言った。
ルードはその後ろで相棒の言葉を聞いて、顔を背けた。
「あー…クラウド、気にしないで良いからな…」
鍵をかけた、薄い扉の向こうからはクリスの苦笑混じりな声。

それを聞いて、見て、思った。


あぁ、レノは向こうで不貞腐れてるんだろうな。

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