悠久の丘で
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06 ただ彼を愛することだけが唯一の世界

「コーコさん? なんでそんなにしょんぼりしてんだよ」
 のしっと後ろから覆いかぶさるように肌を寄せてくれる彼が愛おしい。
僕の毒なんて気にしないと、過去にはっきり言ってくれた彼は、その後僕の毒の抗体がトリコの抗体の数をはるかに越えても、混ざり合って出来てしまった僕自身の毒すらも、それを含めてお前だと言ってくれる。
 他にまだ何かくだらねぇ事考えてんだったら、全部聞いてやっけど、なんかあんのかよ、と言うクリスの言葉だけは忘れられそうにない。
 何年経っても、何十年経っても僕の事を気にかけてくれる彼の自然さが心地よすぎて困る。
「しょんぼりなんて。折角クリスが居てくれるのに、する訳ないだろう?」
 ゆっくりと振り返る。
「嘘吐け。お前、実はいっつもしょんぼりさんじゃねぇか」
 さらりと流れた銀糸。じーっと見つめてくる青。
「なんだい、しょんぼりさんって」
 くすくす笑って彼の髪を梳きながら問えば、頬に軽く唇が触れた。不意打ちに驚いて少し目を丸くする。
「しょんぼりさんはしょんぼりさんだ。こう…しょぼーんって感じ?」
 そう言われてもちっともわからないのだが、首を傾げ、思案するクリスは可愛らしい。
 これでボクよりも年上(1つしか変わらないけれど)だとか、本当にこの世の中はどうにかなってると思う。
「ココは俺の大事な家族…みたいなもんだからな。お前がしょんぼりしてるのは俺としても辛い」
 しょんぼりさん、あっち行けーなんて言って、今度は額にキスされる。
「…今日は妙にキスしてくれるんだね?」
「ココがしょんぼりしてる時ぐらいはな」
 元気なる? なんてじーっと見上げられて。
「…………元気にならない奴なんてきっと人じゃないよ」
「…え、お前なんか…え?」
 背中からくっ付くクリスを正面から強くぎゅーっと抱き締める。
「元気になった」
「…あ、そ。よーござんした」
 口調の割にクリスは優しいから、背に回した腕でぽんぽん撫でてくれる。そういえば庭時代もこうやって落ち込んだときは抱き締めてくれたななんて思い出してクリスの髪に指を絡める。すぐに逃げてしまう所も、懐かしいななんて思った。

「ありがとう、クリス。愛してるよ」
「はは、お前変態だもんな!」

 クリスのとってもいい笑顔を見ながら、首筋に気付かれないように痕を残す。
 ただ彼を愛することだけが、ボク唯一の世界。

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