悠久の丘で
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15「逃げ込んだ檻」

俺は俺じゃない。
俺は俺だけど。
本当の俺はまた別のところに居て、ここに居る俺はツクリモノの俺。



「お前は人形だ」
冷たく響く、尊敬していた人の声。
耳に響いて、どうしても抜けなくて、それで思い出した。


そうだ…
今までの俺は、俺が作り出した借り物。
もとになった人が死んでしまったから今までバレなかっただけ。
本当にここに居るのは俺じゃなくてあの人で。
俺があの時に居なければ、花のように笑う綺麗な女性とココまで来たのは彼だったはずだ。


俺は人形で、与えられた記憶はすべて作り物で俺のものじゃなくて。
彼のものを奪ったのは俺だ。




冷たい冷たい、硬い檻が出来上がっていく。
もう、何も俺に触れないように。
もう、誰も騙す様なことが無いように。

もう、誰も俺のせいで悲しまないように。



俺ハ何ダ
何者ナンダ?
存在シタノカ シナカッタノカ



檻が冷たい。
いっそ、居なくなってしまえばいいのに。
固くひざを抱え込み、目を閉じる。




そんな時。声が聞こえた。



「…ゥドっ!!」
『もう、何やってるの?私をココまで連れてきてくれたの、クラウドじゃない。
早く行こう?ティファも…、皆も待ってるよ?』

「…だって、俺はクラウドじゃない……」
『そんなの関係ないでしょ?
だって、私をココまで連れてきてくれたのも、守ってくれたのも、貴方じゃない。
貴方の名前がクラウドじゃなかったとしても、貴方はずっと一緒に居てくれたわ』
ね、行こう?

腕をとられた。

…………………本当に、行ってもいいのだろうか
『ほら、皆心配してるんだから!』

凍った檻が解けてなくなる。
『私ね、貴方のことが好きだったよ』
たとえ貴方が誰だって。

「クラウドーっ!」

「……ティファ」
『ね、言ったでしょ?皆心配してるって。行っておいで、私はずっと見てるから』
「エアリス…!?」

『私はもう行けないもの』
いってらっしゃい、そして…お帰り、クラウド君。


背を、暖かく細い腕が押した。
「…クラウド!」
名前を呼ばれて、体温が身近に感じた。


やさしく手を振っていた人は、いなかった。

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