悠久の丘で
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05.我慢したんですがダメでした
ベッドの上。波打つシーツの真ん中に包まれた白い肌に、一瞬何処までがシーツか分からない錯覚に陥る。肌を縁取るように流れた銀糸が開けた窓から差し込む光に反射してキラキラ光って見える様も美しく、一瞬見惚れてからベッドへと腰を下ろした。
きしりと軋む音にクリスを見ても、起きた気配はない。
そっと、壊れ物に触れるように滑らかな肌に触れても、クリスが起きる気配は全くない。安心されているのか、美食屋として鈍っているのか、判断は付かないが、これまで美食四天王の追随を許さぬ強さを秘めたクリスならば、自然と安心されている、という判断をした。
それが嬉しくも有り、悔しくも有る矛盾。
今此処で襲い掛かった所で全てをクリスは受け止めてしまうから、悔しく感じる。
クリスに許された人間は多くはないが、少ないと言う程でもない。
後ろで辛うじて結べるようになった青い尻尾を撫でて、どうしたものかと思案する。
別段何かをしに来た訳ではない。
しかし、クリスが目の前に居るのに何もしないなんてふざけきっている。
吸い付くような柔肌に唇を寄せて、吸い付いてぱっと散る赤い痕を刻み付けて。
触れるか触れないかギリギリのラインをなぞる。
のけぞった首筋に噛み付いて、余す所なく舐めまわす。
つんと恥ずかしげに色付いた突起を食んで鮮やかに鳴くまでそこばかりを刺激してやる。
甘く食むも良し、歯でこりこりと弄ってやっても、舌でべろりと舐めてやっても、どちらも好きなクリスはそれだけで膝を摺り合わせるだろう。
恥ずかしいのか先端を真っ赤にして涙を流し、震えるペニスは咥えてやると腰が揺れる。
扱いてやると腰を擦り付けてくるから、これも楽しい。
ぐちゃぐちゃと己が立てる水音に羞恥を感じながらも悦ぶ身体をなぶってやりたい。
浅ましい、と詰って更にとろけるクリスを見たい。
濡れるアナルに指を挿入れるのか、それとも体格に見合ったペニスを挿し入れるのか。
慣らさず挿れた時の食い千切らんとするあの締め付けが癖になる。
双方痛みを感じても、時折欲する位には癖だ。
慣らしても体格のせいだろう、クリスは少しも楽そうにはならないが、それでもふっくらとした前立腺を突き上げると軽やかに跳ね、朱に染まる身体が美しい。
苦しそうな割に抜こうとすると食らいついて離れない。
それでも無理矢理引き抜いてから再度深く挿入すると強い抵抗を見せるから笑い出したくなる。
もし、クリスを喰えるならば、味は極上。
そこまで考えて、漸く勃起している事と口の端から涎が垂れそうになっていることに気付いた。
「―――おっと」
じゅるりと涎だけ拭い、勃起しているペニスに視線を落としてどうするか悩む。ベッドで脚を組み替え、染み1つない太股が上に掛けたシーツから露わになったのが見えて、普通に勃起していたペニスが腹に付きそうになった。
「ったく、コイツ、どうしてくれようか…」
可愛い息子は腹に付く程。
正直本能として、目の前のクリスが美味そうにしか見えない。
実際に美味い事も知っている。
現状、息子を可愛あがってやりたい気持ちもあるし、ぐーすか寝ていながら俺を誘惑してくるクリスにお仕置きしたい気持ちもある。
ココなら既にいただきます、と合掌している所だろう。
ズボンを緩めて息子の様子を伺い見ると、クリスの痴態を思い返しただけで既に先端が腹に付き、先端で先走りの玉が出来ている。
「…喰っちまおうかな」
口に出したらそれが名案に思えた。
「えっと、1、2…6、10…いや、それ以上か。ちっともクリスに触ってねェからいい加減触らねーと干からびるっての」
ちらりと見るとやはり美味しそうだった。悩むように腕を組んで見てもクリスが視界に入ると、喰いたいと思ってしまう。
「…よし」
一頻り目を閉じて考えてみた。その上で胸の前で手を合わせる。
「いただきます」
きっと、凄く良い顔をしている筈だ。それも当然、こんな上物、1人で喰える状況なんてなかなかない。
ベッドに上がるとギシリと揺れる。露わになった肌へ手を伸ばしてもクリスは起きなかった。
起きたからと言ってクリスが心の底から抵抗するとは全く思わないが、それでも多少、クリスから教育的指導が入るのは違いない。
俺たち四天王のお兄さん、だと?
誰もそんな目でクリスを見ていない。見ていなかった。
「何時だってお前は好意の目で見られてたってのに」
何をどう勘違いしたのか。
今だって好きだと、愛している、と伝えても俺も、と返す。
それを本当に理解して返しているならとんだビッチだ。同じ様に返されて居る奴らを後4人知っている。
「…柔らけ」
太股をさわさわと撫でる。いつも思うが同じ男とは思えない。
しかしながら、このしなやかな脚から繰り出される鋭い蹴りを知っているから、侮れない。
太股に触れ、あらかた堪能すれば顔を近付けその肌を舐めた。
「…ん、美味い」
張りのある肌を舌で押して、舐める。唇で食み、強く吸ってやるのも忘れない。赤く色付いたそこに満足して舌でなぞる。
「―――んっ」
「クリス?」
小さな声が聞こえて顔を上げても、眉間に寄った皺と眉しか見えない。
「ったく、全部喰っちまうぞ」
舌を脚の付け根へ。
「ん、頂きます」
寝ていても快楽と言うものはきちんと身体は受け取っている、と分かったのはいつの事だったか。確か庭時代、毎晩のようにクリスの部屋へ忍び込んでいた頃の筈だ。
身体を横にして寝ているから分かり難いが、たったアレだけの舌での愛撫で半勃ちになったクリスのペニスを窮屈な下着から解放してやり、根元から舐め上げる。
腰がびくりと揺れて、唇を吊り上げる。
舐め上げて到達した先端の穴をべろりと舐めてから吸われるのが好きなクリスは、寝ていてもそれが好き、らしい。痙攣する太股を撫で回す。
「…っは、先走り凄いな」
口の中にとめどなく溢れて、飲み込む。これがどんな美酒よりも美味いと思ってしまう辺り、もうダメなのかも知れない。
何度かペニスを扱いてやり先走りを指に絡め、露わになった尻を揉むとペニスが疼く。柔らかく狭くて適度に硬いそこを突いて押し挿って、クリスが鳴く程咥えさせたい。入り口では出ていけとばかりに押し返すくせに、カリを咥え込んだ辺りでは一転、引き抜こうとすると喰い千切られるのではと思うほど絡みついて離さない。
「ん…、ふは、すげ、いい匂い」
だらだら零れ落ちる先走りは指に絡めアナルへ塗り込む。入り口を濡らし指でじっくり撫でてやると次第に緩んで、指を受け入れる。
悩ましげな表情でシーツを乱すクリスを見て笑って、乳首へキスをした。
「全部に徴、付けたら俺のモンになんねーかな」
言ってみてもダメだと言うのは目に見えている。
「クリス…クリス」
つぷりと指を咥えさせ、そのまま付け根まで指を進める。狭いように見えて実際に狭いが、よく俺達のモノを受け止めているだけあってしなやかに中の肉が指を食んで、きゅうっと締め付けられた。
離さないよう絡み付く中をくすぐるように指で撫でてやって、反り返ったクリスのペニスにキス。
「後ろ弄られてこんなんなっちまって」
それが愛しい。
*
「―――…トリコ?」
ベッドで寝ていた筈なのに、起きた時には食いしん坊ちゃんの膝の上。
「あ、起きたかクリス」
爽やかにそう言う姿を、向き合う格好で抱き締められていたから真っ正面から見たが、この笑顔に騙される筈もない。
「……年々ココに似ていくな」
「そうか?」
「あぁ。お前ら、寝てる俺に悪戯するの、大好きだよな」
呆れたように告げてもトリコには満面の笑みで返された。
「あぁ、大好き!」
それがまた可愛らしいから腹が立つ。
寝ている間に良いように身体を弄られ、起きたら挿入後? 一編庭に戻ってやり直せ。
「―――っひ、ン……ぁ、バカ…」
「へへ、起きてるクリス、最高」
軽く腰を突き上げられ脚が砕ける。すがりつくしかない俺を見てトリコが嬉しそうに笑うから、許してしまいそうになって、ぶんぶん首を左右に振る。
「この、バカ犬…!」
「あぁ。バカ犬だから、クリスが躾てくれないと」
腹にこびり付いて白くなった精液の状態を見れば、奴が如何に意識のない俺で遊んだのかが分かると言うものだ。
「意識のない奴に此処までするか…!?」
腰は痙攣気味。
当たり前だろう。トリコのバカデカいモノがずっと入っていたら、女でもそうなる。
「サニーとゼブラとココと鉄平に聞いてみるか?」
にこっと笑う笑顔が悔しい。
「…………………ゼブラと鉄平は我慢する」
四天王の中でも、ゼブラは俺に優しい。じっと見上げて告げればトリコは上機嫌に笑った。
「へぇ、良いこと聞いたな」
「何っ!? 何が良いんだ、マジで最近ココさん盛りのついたネコみたいで、俺狩りにも行けないんだぞ」
じっと見上げて抗議してもトリコは笑んだまま。それどころか、入り口をそっと指でなぞる。
「ココの喰ってる割にクリスの此処、全然緩くならないな」
「笑顔で言うことか」
額にデコピンをしてやるが絶対に効いてない。弟たちに甘いせいだ。
「お前らの規格外のモン喰ってる俺の苦労を労れ! マジでお前ら本当にデカくて苦しいし…」
「そう言いながら美味そうに喰って離さないのはクリスだろ?」
にやと笑って腰を揺するトリコ。只でさえデカいもんが中でいっぱいになってイきそうになるのに、それが更に突き上げると苦しさと強い快楽を同時に強く感じて頭の中が真っ白になる。
「あーぁ、気持ち良さそうにイっちゃって」
「―――っひ、あ! ん…ット、リコ、バカ、野郎…!」
「へへ」
まるで子どものように笑う声と、髪を梳き撫でる手。もう片方の手で強く抱き締められて、角度が変わって苦しい。
「クリス」
にっこりと満面の笑みで笑うトリコの青い髪が頬を撫でる。
「ごめんね。我慢したけど無理だった」
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