悠久の丘で
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遊ぼう


「…古泉ー」
「なんですか、その気のない呼び方は」
「だってー」
 ぐて、とやる気なくだらけた十七夜月を視線だけで戒める。そんな事をしたところで態度を改めるわけないけれども、―――まァ、それも彼が来れば十七夜月も態度を改めるだろう。
 彼―――十七夜月はその遊人らしい性格含め容姿のわりに、最も苦手としている人間がキョン――ここでは皆がそう呼んでいるので仮に呼ぶとする――という、意味の分からない性格を形成している。
 その理由は―――彼的にはいかに重要であっても、僕にはなんの価値も見出せない―――至極単純であった。
「…キョンは酷ェし、古泉は構ってくれないしィ」
「構ってあげてるでしょう? こうやって」
「…ン、古泉そこもっと撫でて」
「――――…はいはい」
 膝の上に頭を乗せた長髪のやけに似合う色男の髪はサラサラで、手持ち無沙汰に梳くにしては心地がよかった。梳いているこっちも眠くなってしまうような、指をすり抜ける細い絹糸にも似た髪が僕の膝から零れた。
「十七夜月、そんなに暇ですか?」
「…うん、暇…。古泉が俺と遊んでくれるなら良いんだけどさ」
 遊んでくれる、という発音がいつものそれではなくて。
「古泉、遊んでくれンの?」
 人の膝に頬を押し付け眠そうな目で見上げ、色気たっぷりの表情でチロリと紅い舌を出し唇の端を舐める。白の細い、日本人らしからぬ腕を僕の顔まで上げ頬に触れる。
 手が綺麗な男はモテると、そう云えば聞いたことがあったような気がするがそれは至極尤もらしい、そうだ、と思った。

 彼は確かにモテる―――そう云う俗物的な観点で言うなら―――部類だろうし、実際に女性と遊んでいる所は見ていないにせよ告白シーンは何故かよく見かける。

「遊んで欲しいのですか?」
「うん」
 即答されるとやや照れくさくて、
「…古泉、肌綺麗―――…」
 呆けたようにそう云われて物珍しそうに、そして何故かはにかんで頬を撫でられれば「否」とは言えなくなる。
「…十七夜月、よくずるいとか言われませんか?」
「ん―――、キョンにはたまに」
「…彼が、ですか」
「キョンくらいだぜ、俺にンなこと言うのは。あとは――…古泉か」
 ふん、と面白くなさそうに鼻を鳴らすと彼は身体を起こし、唇に、触れるだけのキスをした。ふわりと彼特有の爽やかな匂いが香る。
「ったく、俺からしてみればキョンの方がずるいけどなッ」
「貴方も十分ずるいですよ、僕をその気にさせるのがお上手な事で―――…」
 そもそも、この目の前にいる彼にそんな事を言われれば逆らう余地はなく。
「今日は抱いて差し上げますよ、十七夜月」

 にっこりと笑った。

「―――…はァ!? 俺最近…つかキョン抱かせてくれねェんだから俺に抱かせろよ」
「そうですね。彼のおかげで随分色気も出てきましたしねェ」
 仕草の1つ1つに以前は感じなかった、優しい色気が見え隠れする。以前の彼は強い視線を感じるだけで瞳が虚ろになったものですが、最近はその逆。身体に触れて啼かせたくなる。
「だってさ、キョン抱かせてくれねェんだもん! 俺は抱きたいのに…」
 ネコは嫌。とここまで正直に言う人間も珍しい。僕はクスクスと笑って唇を重ねた。今度は触れる程度ではなく、舌を入れ込んで歯列をなぞり舌を絡める、そういうキスである。
「――――…唇、柔らかいですよね」
「…んッ…………ふ」
 鼻に抜ける音。
「…十七夜月?」
「―――なん、だよ」
 制服をくしゃりと握る手が力なく僕の首へと回って、大きく肩を上げ呼吸を整える彼の姿が視界いっぱいに映る。
「もしかして、感度、良くなってますか?」
「知らねェよ! 俺がどうやって知るんだよ」
「…おや、知る方法なんて幾つもあるでしょう?」
 それに―――、と繋げた。彼は恐らく否定するだろう。―――だが、否定しようもない事実なのである。
「十七夜月、これで女性を抱こうだなんて無理な話ですよ」
「…ッん」
「こんなに感度が良くなって、埋めて貰わなければ気が狂いそうになる―――」
 僕は十七夜月の首筋に舌を這わせ、そう、言った。十七夜月は、と云えば唇を噛み締めて顎を反らしている。ふふふ、と笑った。
 ザラザラした舌というものはこれほど感度の良い人間にとっては只の拷問道具と変わらない…らしい。悪戯に肌を煽り、熱を掻き出すだけ掻き出して、局は解放に程遠い快楽。―――その中途半端さが辛いのだ。
「彼には、礼を言うべきなのでしょうかね」
 口に出して思わずそう呟いたなら十七夜月が視線を上げた。
「…誰に礼だって?」
「キョン君―――、ですよ」
「なんで」
「こんなに十七夜月を感じやすくして下さってありがとうございます、と」
 ふふふと笑って緋色のネクタイを布ずれの音を小さく解く。そしてシャツのボタンを順に外していった。彼はシャツの裾をズボンの中に入れるなんてこと、絶対にしないのでボタンをすべて外してしまえば薄い胸が覗く。そしてその胸、首筋には1週間のうち最低でも2、3回は行っている性交の痕が伺える。
「―――…十七夜月、痕、付いてますよ」
「だって付けられるんだもん。それにその中にお前が付けた奴もあるだろ?」
「…えェ、恐らくは」
 確か最近では女性を抱く事が少なくなったとか。なので、この痕は彼のモノが多いのでしょう。
「結構痛いんだよな――…。付けられるの、嫌いじゃないんだけどさ」
「ようは鬱血ですからね。内出血なのですからそりゃァ痛いでしょう」
 身体に咲いた華を指の腹で撫で、1つ1つ丁寧に舌を這わせていく。彼は痛い、と言ったがそれでも時折歯を立てて。
 白い肌に赫い華はやけに目立って、そしてどこか卑猥だった。
「――――い、つき…?」
「なんですか?」
 コクリと唾を呑込んで。
「俺に抱かせろ」
「お断りです」
 間一髪言われた言葉を跳ね除ける。
「―――…ッ! なんで! 閉鎖空間じゃないのにお前、鬼畜かッ」
「別に閉鎖空間は関係ありませんよ」
 失礼だなァ、と言って、耳元に唇を寄せた。
「貴方が悪いんですよ。―――――あまりにも可愛らしいから」
「何処がだ」
「そう云う所、すべてです」
「お前、それは答えになってないじゃないか」
 十七夜月は憮然とした面持ちで苦々しく言った。

 ―――そうだろうか?
 ―――そうかもしれない。

「でも」
 触れてもないのにプクリと膨らんだ胸の突起に舌を絡めた。
「こんなに楽しみにしてるじゃないですか」
「―――…ッちが」
「違いませんよ。肌が甘い…」
 楽しみでしょう? 問えば悔しそうな顔をして十七夜月は顔をそらした。
「お前には犯されたくない…ん、だ」
「何故?」
「…というか、俺は誰にも犯されたくない」
「僕に閉鎖空間で、キョン君には此方で何度も犯されてるじゃないですか」
 噛めるくらい大きくなった突起を甘噛みする。
「ひ…ッ、ぁ」
「気持ち良さそうですね」
 思わずと云った様子で溢した声を抑えられるとでも思ったのか、十七夜月は口元を隠し、手の甲を噛んだ。
「もうすっかり此処もその気のようですし」
 すっと三角に布を張ったズボンに触れ、僕は胸の飾りを痛いと感じるまで舌で転がしながら軽く揉んだ。
「いい加減弄ってあげないとかわいそうでしょう?」
「――――あッ」
「ここ、こうされるの、好きですよね」
「ちが…ッ、噛、むな…よっ」
「随分と喜んでいるようですが―――…、」
 十七夜月の抵抗などさして気にすることなくベルトに順調に手をかけ、ズボンに手を潜り込ませる。布越しに触れるより実際に触れるほうが確実に熱い。
 手に触れる粘着質なソレは紛れもなく身近なソレで、
「それでも否定なさいますか?」
 引き抜いた手を十七夜月に見せつけるようにして舐め、にこりと微笑む。
「ば…ッ! てめェ、ンな物舐めンな!」
「十七夜月は舐めるでしょう? 僕が幾ら恥ずかしがっても嫌がってもそれが良いとか言って舐めますよね?」
「―――…ッく」
「それに美味しいですよ、十七夜月のは」
 もっとも他に舐めたことも飲んだ事もないのだから比べようにもないのだが。
「嘘付け!」
「本当ですよ。なんで嘘なんかつかなきゃならないのですか」
「俺のあんなモンが美味いとは思わんからだッ!」
「美味しいですよ。十七夜月の味ですから」
 ぐっと十七夜月が言葉に詰まった。
「十七夜月はどうして僕のを飲むんですか? あんな汚いもの」
「―――――…一樹の奴だし…、甘い、から…」
 唇を噛んで俯いてしまった十七夜月の顔を上げさせて、唇を重ねるともうどうでもよくなってしまったらしい。くたりと力が抜けきった身体で目までとろんとして来て、先ほどまであれほど抱かれるのは嫌だ、嫌だ、と言っていたのに意外なほどあっさりである。
「―――…い、つきィ」
「どうしました?」
「いいから触れ、…触って」
 十七夜月の手が僕のネクタイをほどいた。膝に乗って、熱に犯されたような眼で見上げ首筋に唇を寄せたかと思えばボタンを外され鎖骨の辺りに痛みを感じる。
 視線を落とせば十七夜月が満足そうに妖艶に笑んでいた。
「一樹は、俺の」
「えェ、僕は貴方のものです」
 シャツに隠れるか隠れないかギリギリの所に付けられた所有印を明日、どうするか多少頭の中で考えながら十七夜月の頬に触れる。
「一樹、―――大好き」
 僕の返事に満足したのか今度はあどけなく笑んだかと思うと膝を降りて顔を寄せた。カチャリカチャリと金属の触れあう音で彼が何をしたいのか悟る。
「―――十七夜月?」
「一樹の、ちょうだい? 俺に舐めさせて」
 語尾は多少上がって一応伺いたてるようになってはいるが、結局は彼の中で決定事項らしく返事よりも前に勝手に前をくつろげ愛おしげに撫でている。
「十七夜月―――…ッ」
「ぁに…? 一樹じっとしてて」
 じゃないと、歯、立てるよ。
「…それは、遠慮したいです」
「でしょ? 大人しくしてなさい」
 歯を立てる、なんて脅されれば取敢えず大人しくしようと云う気にもなる。僕は十七夜月の髪に指を入れ込んで、梳きながら仕方なく大人しくしている事にした。
 本当はと云えば僕がシて、恥らう十七夜月を見たかったと、それを真っ向から否定したらそれは嘘になる。

 ―――なにより、十七夜月が咥えている、という事自体が信じられないのだ。

 それよりは確実に十七夜月がいると身体が納得するように、触れていたいと云うのに。それになによりこれでは何時もとさして変わりがないのだ…。
「…一樹、考え事なんていい度胸じゃん?」
 ふと十七夜月の声が聞こえて、局部に痛みが走った。
「――――ッ!」
「一樹、誰の事考えてた? 返答によっちゃ、喰いちぎるよ」
 十七夜月の目が真剣で、尚怖かった。
「…ッ、」
 痛い。正直な話、かなり痛い。それを知っていて十七夜月は実行したのだから、よほど気に食わなかったのだろう。
「―――…十七夜月、の、コト…です」
「俺の?」
 ぺろり、と、歯を立てた部分を慰めるような舌触り。
 今度は優しく舐める。時折は歯をも使って扱き、だけど視線は決してそらさずに。
 強い視線にさらされながら、頷いた。
「こんな、十七夜月にしてもらうなんて夢のようだな、と」
 言えばあきれたように視線を返された。
「そんな、言えばやってやるのに…」
 嫌いじゃないし、結構好きだし、という十七夜月はとても卑猥で、どうしたら良いのか良く分からなくなる。

「十七夜月、もう、良いです」
「ん…、」

 喉まで咥えていたモノを出すと、先走りと十七夜月の唾液で光っていた。
「こっちに」
 十七夜月にかけて白濁塗れにさせたい欲求には頑張って打ち勝って、背を向けた十七夜月を抱く。
「行きますよ…?」
「ん、」
 小さく、色で染まった十七夜月の目を見ればいきり立った自身の上におろして、起立したソレを飲み込ませるように彼の身体を抱きしめ火傷しそうなほど熱い彼の中を味わう。

「んん、ん―――ッ、ぁっ」
「十七夜月…、」
 声がかすれる。
「あっ、あぁ…ッ! ん、―――――はァ…ッ」
 ぐちゅりと音がして。おくまですっかり飲み込んでしまった十七夜月の膝の裏に腕をいれ、彼の足を中に浮かせるとさらに奥へとずずっと入り込んだ。
「お、く…ぅッ、あたる…ッんん、あ、ひぁ…っ」
 息苦しそうな、気持ちよさそうな、十七夜月の声。
 声が漏れるたびに収縮して締め付けるナカ。
 その卑猥な腸の動きに気付いているのかいないのか、十七夜月は実に気持ちよさそうな顔をする。
 腰を掴んで大きく動かせば、十七夜月は目をぎゅっと瞑った。

「イイですか…?」
「いい、いい…ッ! んぁッ、あ、ああ…!」

 気持ちいい、という小さな声が十七夜月から漏れる。
 それに笑みを零して、がつがつと十七夜月を貪るように突き上げる。
 どれだけ乱暴に突き上げても十七夜月のソコはしまりが良くて、もう、抱き始めて何ヶ月もたつのに最初のそれと、さして変わることの無い狭さに感嘆が浮かぶ。
 ぱさりぱさりと動くたびに宙を舞う銀髪が美しい。
「本当に、気持ちよさそうですね、十七夜月は」
「んッ、んん…」
 もう、すでに声も聞こえてないのだろう。気持ちよさそうな十七夜月は本当に綺麗で、ずっと手放さないとその時に1番強く感じる。

 きっと、淫乱、なんて言葉は十七夜月のためにあって。
 きっと、ニンフェットなんて言葉も十七夜月のためにある。

 ぐちゅぐちゅなんて絶えず卑猥な音を立てて雄を飲み込むソコ。

「いつ、きィ…っ、んッ、あ…あぁ!」
 いつ喉が枯れてしまうとも知れず、だけど十七夜月の声は甘くて、
「どう、しましたか…?」
 僕の声は気を抜いたら引きずられそうで掠れて。
「お、れ…ッ、も、イきたい…っ」
 一生懸命身体を捻って云う涙をぽろぽろ流した十七夜月の額にちゅ、と唇を落として、微笑んだ。
「良いですよ、僕も…もう、限界、ですかね」




  *



「なァ、一樹」
 コトが終わった後。ぐったりとした十七夜月の身体を綺麗に拭いてやって、服を着せながら十七夜月が呼んだ。
「なんですか?」
 問えば、十七夜月は微笑んで唇を近付けた。

「一樹、次は俺が喘がせてやるからな」
「ひぐ…っ!?」

 あまりのことにびっくりした。
 そう言った十七夜月の顔は酷くサディスティックで唇なんか舐めるから淫美で、僕はおかしくなった。
「あ―――…、ぁ、はい…」
「よし、良い子」
 返事をしてしまってから気付く。
「ぇ、十七夜月!?」
「約束だよなー」

 そんな酷い約束をして、十七夜月の微笑みは夕闇にまぎれた。

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