悠久の丘で
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たとえばそんな奇跡

 暗い路地、と言っても差し支えないような場所で、綺麗な子どもを見つけた。
 子どもはまだ小学生の高学年くらいか、膝上の短パンに、その裾が隠されてしまうくらい長い半袖の上衣を着ていた。白の上衣だというのにそこから覗く腕も恐ろしいほどに細く、そして雪のように白い。
 ついでに言うならすらりと伸びた脚も形、色、共に花丸をあげたいくらいで、遠目にも眩しかった。
 きちんと穿かれた白のソックスも今時なかなかいないが少年の容姿にはぴったりで、露出した脚が艶かしい。

 もう時間は遅い。

 小学生のような容姿の少年が居て良い時間帯ではない事は間違いなく、そしてそんな人通りのない場所で電信柱に寄りかかっているなんて、なんとも絶好のチャンスであるように思えた。
「―――ねェ、君」
 なので声をかけてみることにした。
「―――…なぁに?」
 少年は声をかけられると見上げてきて、不思議そうに此方を見た。ちょい、と傾げた首や、半開きの唇も絶妙で、
「どうして此処に居るんだい?」

 ―――そんな質問をする程度にはこの少年を気に入っていた、と言っても差し支えないだろうか。

 もしこの少年がそっちの方の商売をしている、といわれても私は驚かない自信があったし、それならば、と同意して頂きたいくらいであったのだろう。
 まだ発達途中の少年の四肢は柔らかそうで、自分の思うままに吸えたら綺麗な紅い華が咲くだろう。

「お兄ちゃんは? どうして此処に居るの?」
「―――お兄ちゃん?」
「うん。お兄ちゃん…じゃ、ないの?」

 少年の高い声は耳障りが良い。可愛らしく首を傾げ、少し大きめの瞳が不安そうに此方を見ていた。
 ゴクリ、と喉が鳴る。

「いや…お兄ちゃんで良いよ」
「うん、お兄ちゃん! どうして此処にいるの?」

 嬉しそうに笑った。私は、と言えば少年の視線にあうようにしゃがみ込み、おずおずとその細い脚に手を伸ばしていた。
「―――お兄ちゃん?」
「あァ、気にしなくて良いよ」
 滑々とした体毛の薄い肢体。触れるか触れないかの瀬戸際の所で撫でていたら少年が顔を伏せた。
「…どうかした?」
「―――う、ううん。なんでもないの」
 そうは言っても声が所々上擦っている。
 可愛い、と思って、さらに手は自由にそして大胆に少年の脚の付根の方へと滑っていった。

「お兄ちゃん…ッ」
「何? 言ってごらん?」
 切なげに、少年に呼ばれたときすでに私の手は少年の身体を自由に動き回っていた。
 服の上から少年の胸の突起をコリコリと押しつぶしてやる。
「…ゃ、だ…ァ」
「嫌そうじゃないけど」
 少年は暗闇でも分かるくらい顔を真っ赤にさせて俯き首を振る。突起は服の上からでも押し返し反応を返すくらいまで硬くなった。
 次は何処を弄ってあげようか、と笑いながら考えていたらふいに、倒れそうになった少年を抱きしめ腕の中に少年を見る。
「大丈夫?」
 あァ、こうして犯罪が癖になっていくんだろうな、と思いながら、それでも私はこの後の、この綺麗な少年の秘密の蕾を暴き、グロテスクなソレを埋め込む瞬間を想像して、少し勃ってしまった。

「―――ねェ、お兄ちゃん」
 あれ、と思った。
 少年の声があまりにもしっかりとしすぎていたから。

「お兄ちゃん、逃げた方が良いと思うよ?」

 少年がクスクスと笑って、
「じゃないと怖ーいお兄ちゃんたちが来る―――…ほら、」
 少年が私の後ろを、指差した。


「来た」
「怖…?」


 いぶかしんだ私の頭から数ミリと離れていないところに、ダンッと強い勢いで蹴りが繰り出されたのは、そのすぐ後だった。
「――――な…?」
「十七夜月に何やってるんだ?」
「な、な、な…!?」
 音がしたコンクリートで作られた壁を見れば黒く靴の先の跡が付いている。
 目の前の髪の短い男に驚いていた私は、その後すぐ―――、そっと触れられた肩への感触でもう1度驚いた。

「どうも、こんばんは。それで―――…僕の可愛い可愛い十七夜月に何をなさっているのか、お伺いしても宜しいですか?」
 今度は肩に髪が付く程度の顔立ちの整った男だった。目は笑みの形に形作られては居るけれど、声が、その表情にそぐわないほど冷たい。
「き…君たちは」
「僕たちですか? ―――そうですねェ、十七夜月の、―――そこの少年の保護者、と言った所でしょうか」
 ねェ、十七夜月、と男が少年に尋ねた。
「―――うん、って言って欲しいんだろ?」
 少年は笑って言う。
「でもそしたらお前もキョンも捕まるよな」
 少年はケラケラと笑うと私の腕の中から抜け出して、最初に蹴りつけてきた男の下へと走り、その手を握った。
 そして少年は私の方を向く。

「お兄ちゃん、今のうちに帰っておけば多分、これ以上何かされないけど―――どうする?」

 どうする、と聞いているのは形だけで、
「―――…ッ」
 私はさっさとその場から逃げ出した。




   *




「―――ンで? こんなにも遅かったのはなんのせいだ、一樹、キョン」
 そう言って、十七夜月はその容姿には目が痛すぎるくらい可愛らしい服に身を包んで聞いた。身長もどっからみても小学生のそれで、幾らこの人が高校生なのだといっても理解してくれる人など皆無に等しかった。
「長門に話を聞いてきた」
「それは知ってる」
「やっぱりソレはハルヒが関係してて―――…恐らく月曜日には直るだろうと、」
 ちなみに今日は金曜の深夜、土曜の日付変更直後である。
 キョン君は溜息をついた。
「―――やっぱり只の思いつき?」
「―――えェ、ほら、今日は珍しく幼少期の話題で盛り上がったじゃないですか」

 その時日直のせいで遅れ、満足に部活に出なかった十七夜月の幼少期を見たいと、そう、涼宮さんが願ったらしく、こんな風に可愛さ凶悪さがアップして帰ってきたというわけだ。
 短パンがこんなにも危険値高いものだと、僕は初めて知りました。十七夜月、体育の授業中は長いジャージ着用ですもんね。

 ―――まァ、これから一生僕らの目の前以外の所で短パンなんて穿いた日には、咽び泣いてもやめてさしあげられないくらい酷い事をするのでしょうが。

「―――家、帰りましょうか」
「あァ。…ぁ」
「どうかしたか?」
 小さく返事をして、小さい子どもよろしく二方向から手を引かれた十七夜月は小さく声を漏らした。

「―――今日、一緒にいてくれる?」

「勿論ですとも」
「ばっちりだ。家にも電話したからな」
「―――と、いうか帰れと言っても帰りません」
「同感だな。家には明日も外泊することになってるから」
 だから、きにするな、とキョン君が言う。
 僕の方もおそらくは大人しいだろう。何せ十七夜月の肉体を子どもまで戻し、彼女もおそらく満足だろうから。

 ―――それにしても、

「…想像しただけでこんなに小さな十七夜月を拝めるなんて、涼宮さんには感謝ですね」
「まったくだな」
 キョン君も隣で深く頷いた。
 その中不機嫌なのは十七夜月だけで、
「―――…なんだよ、お前らそんなにジロジロ見やがって」
 そんな可愛い事を言う。
「十七夜月、小さい時も可愛かったんですね」
「ロリコンだったのか、一樹」
「違いますよ」
「どこが違うんだ」
 頬を膨らませる仕草が本当によく似合う。
 彼は僕の手を離してキョン君にくっついた。―――まるで僕から逃げるみたいに。

 残念ですね、十七夜月。その人も変態ですよ。その証拠にさっきからチラチラ脚を見てますから。

「キョン君、交換してください」
「悪いが断る」
「お前ら人を物のように扱うなよ」
「気のせいですよ」
「そのとーり! 気のせいだ」
「顔がニヤついてるじゃねェかよ、このバカ」
 どれだけ罵倒されても頭に来ることがない。
 その大きな要因は言っているのが十七夜月だから。そして、声がいつもよりさらに1オクターブくらい高い、と言うことも要因に入るだろうか?
「十七夜月」
「なに?」
 そう言って見上げてくる首の角度とか、いつもと違ってそれはそれでクる。
 そっと手を差し出したらあきれたような顔をして、だが、取ってくれた。

「十七夜月」
「ンだよ」
「今日は夜更かしって事でいいですよね?」
「―――…てめッ、俺にこの恰好で受け入れろと!?」
「できますよ、十七夜月なら」
「そんなお墨付きはいらないんだけどな」
「キョン君はどう思います?」
 急に話を振られてキョン君はびくっと肩を揺らし、そしてじっと十七夜月を見た。
「…いや、あの」
「…お前、はっきりしろよ」
 十七夜月が呆れたように見返した。
「―――ぁ、どっち、でも」

 その言葉に十七夜月は眉をあげて笑った。可愛らしいその容姿に全くそぐわない笑みだった。妖艶な、とても視覚を刺激する顔。
「―――へェ?」

 挑発するように笑って、
「―――…ッ」
 思わず喉を鳴らしてしまうくらい。
「ンなら、一樹、今日は一晩中でも付き合ってやるよ。今日はキョン、不参加だって言うしさ」
「―――なッ、」
「だから―――、」
 十七夜月が腕を伸ばす。その腕を取って、抱きあげた。
「満足させてくれるんだろうな?」
「えェ、勿論」
 ご希望に添えますように、と笑って、キョン君を見る。
「―――…っ」
 唇を噛んで何故か僕がやたらと睨まれているんですが、これは笑っていいのでしょうか?

「―――…くくく」
 ―――と、思っていたら十七夜月が笑った。

「嘘、嘘だからンな顔するなよ、バカキョン」
「な―――…」
「嘘だって言ってるだろ? 第一お前いるところでお前不参加で一樹とヤるって、俺、どんだけ変態なんだよ」
 嘘、混ぜてやるから。と十七夜月が耳元で囁き、キョン君の凍結は一時解凍されたようだ。ただその代り闇夜にも目立つほど耳まで真っ赤だ。
 やめておけばいいのに、十七夜月はそんなキョン君に向かって、
「別に、参加不希望なら勿論そっちを優先させるけど」
「いや、結構。お気遣いありがとう」
 慇懃にそう言ったキョン君が首が赤い事を隠すように手で押さえた。

「―――ンじゃ、朝まで頑張りますか。寝ちゃったらごめんね」
 ほら、俺今小学生だから、と十七夜月が小悪魔的に笑って、
「そしたら起こしてやる」
 キョン君が間一髪開けず続けた。
「ノーセンキュー」
「まァいいじゃないですか、日曜日もありますし」


 そんな事を言ったら十七夜月とキョン君2人に「信じられねェ」みたいな視線をいただきました。
 まったく、どうしてでしょうね?
 どうせ日曜日だって同じようなことをして過ごすとわかっているのに。

 素直じゃありませんねェ。






 あァ、ところでその続きでした。――――月曜日、元に戻った十七夜月はその喜びでいっぱいだったようですが、学校へは行きませんでした。
 …と云うのも、休日頑張りすぎて体中に虫刺されの痕が――服を着ても見えるほど――つけられたからなんですけどね。

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