悠久の丘で
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原稿というのは


「あ、あ…ッ、んっ、レ、ン…奥当たる…ぅッ」
 吐息混じりなマスターの声。上に乗って仰け反るマスターの肌は半ば病的に白くて、なのにさっき俺が痕を付けてあげた所だけが紅い。
「おねが…っ、も、無理ぃ…! 焦ら、すなぁ…ッ、お願…い、」
「―――なんで? 美味しいでしょマスター。マスターはコレ大好きだもんな?」
「お願い…っレ、ン…あんっ」
 きっとイイ所に当たったんだろう。マスターが本当に嬉しそうに鳴いた。
「マスター、淫乱…。そんなに締め付けるなよ、焦らされるのも大好きだろ?ねぇ、本当の事言えないの? 嘘はダメなんでしょ」
 ぐちぐちと交わった結合部に指を滑らせる。マスターは淫乱だからもしかしたらこのまま指の1本や2本、簡単に呑んじゃうかも。
 誰でもなくマスターがこうして俺に翻弄されて善がって鳴いている姿を見るのが好き。相手は兄さんでもメイコ姉でもなくて、ミク姉でもリンでもなくて俺で、それでこうやって仰け反るまで感じてくれるマスターが大好き。
「マスター」
「ひゃぁ…ッ、んん」
 別にそんな風に喘ぎで返事をしてくれなくても良いんだけどな。感じすぎてすんごい物欲しそうな顔してるマスターは確かに理性崩壊するくらい可愛いし、エロいし積極的に動いてくれたりするから大好きだけど、流石に毎回だと俺も保たなくなっちゃうし。只でさえ狭いマスターのナカは熱くてきつくて挿れただけでイきたくなるんだからさ。
「ねェマスター」
「ん…、な、んだよ…ッ」
 あはは、眉が寄ってる。もうイきたいんだろうな、多分。切羽詰っていつもよりエロい顔してるし。やっぱりアレかな、根元縛ってるからかな。
 マスターが少し怒ったような顔で返事をするから、きっちり縛ってイけないようにしてある根元をゆるゆると触った。縛ったネクタイが、元は綺麗な緋色なのに臙脂色に変わってきてる。

「イきたいでしょ? マスターが素直に言ったらイかせてあげる」
 そう言った時のマスターの顔が、本当に可愛かった。

 泣きそうに歪んで、
 俺だけを細長の瞳に映して、
 唇を噛んだ。

「レ、ン…ッ」
 責めるように響いた声も、気にならない。声が艶で濡れている。
「何、マスター」
 俺は動かない。
「言う気になった?」
 そんな訳無いと知っていて、そんな事を言う。だってマスターは人1倍素直じゃなくて意地っ張りで。そんな周知を煽るような台詞、頼んだって言ってくれない。
 そんなこと、重々承知の上だ。
 だから今日はあんまり痕をつけたくないマスターを縛ったし、首筋に、鎖骨に華を散らせた。
「――――――しょうがないなァ…」
 だけど、マスターが濡れた目で睨んでくるとすぐにでも鳴かせたくなるから目を伏せた。勿体無い。本当はずっとずっと見ていたいのに。マスターのこんな姿を動画として納めたいくらいに好きなのに。
「…マスター、なら、ご主人様って呼んで?」
 マスターは息を呑んだ。そんな理由は知ってる。十分過ぎるくらい知ってるよ、マスター。


「マスターが1回、俺のことご主人様って呼んでくれたら、動いてあげる。マスターの大好きなトコ何回でも突いてあげる。そしたら何回だってイかせてあげる」
 そしたらマスター、壊れちゃうかもね。


 マスターの瞳は悩むように揺れた。自尊心が高い、完璧なマスターならその理由も知れる。だけど、それくらいは言ってもらわなきゃ。
「―――別にいいよ、ミク姉とかリンが帰ってくるまでこのままでも」
 このままでいられない理由を知っているから、俺は言う。
「マスターは見て欲しい? 帰ってきたらすぐに見つかっちゃうよね、リビングでこんなことシてればさ」
 マスターの長い髪がぱさぱさと揺れた。いやいやでもするように、ゆるく振られた首。いつもならそこで許してあげるけど、今日はダメ。
「マスター、そんなにミク姉とリンに見て欲しいの? 淫乱だね。良いよ俺は別にマスターがずっとそうしてたいなら」
 俺のを飲み込むマスターのソコ。きっと紅くて綺麗な色をしているんだろう。ちっとも動いてないのにひくひくして、ナカが収縮する度に俺を締め付ける。
「あ…っ、ぁ、」
 マスターは今更いない事を思い出したようだ。急にそわそわし始めた。
 何度も薄い紅色の唇が薄く開く。そのたびに小さな声が聞こえる。

 だけど、マスターは漸く観念したみたいだ。
「―――…ぁ、ご、主人、様…ッ」
 小さな小さな声だけど俺は笑った。そして約束だから下からマスターを突き上げてあげた。
「ひぅっ、あッ! レ、ふか…ッ」
「はは…、だってマスター、動いて欲しいから俺のことご主人様って呼んだんでしょ? マスターはやっぱり本当にどうしようもない淫乱だね」
 マスターは、もう何も言えないくらい感じている。勢いよく首を仰け反らせて、一瞬痛くないのか心配しちゃったくらい。だけど気持ちよさそうに声を上げてるし、すごい締りも良いから特に気にしなくてもいいだろう。
「でも約束だから紐、取ってあげるね」
 紐があったほうが気持ちいいだろうに。
 だけど約束だからちゃんと取ってあげる。しゅるりと取れる瞬間に、俺は1番深くなるように突き上げた。マスターの奥深く。誰も触れないような奥に自分のモノを叩きつける。
「――――――ッ!」
 息を呑むようなマスターの声。視界に舞いマスターの顔にまでかかった白濁と同じものを、ぎゅっと喰い千切るくらい強く締め付けたマスターのナカにたっぷりと注ぎ込んだ。

 ああ、マスター。本当に可愛い。



  *


「――――――おい」
「何、マスター」
 マスターはついさっき出来たばかりの紙面を見ていた。それで読み終わった後すぐの言葉がそれ。
「………お前、なんで俺が受けなんだよ」
「あら、マスター。この間はカイトとヤって攻めだったじゃない」
 そこなのかしら、という疑問は浮かばなくもないけどあまり気にしない。だって、新刊が間に合わなくなっちゃうじゃない。マスターが例え拒否したとしても、あたしはそれを新刊として出すもの。
「つかミク! お前見てたなら止めろよ…」
 マスターは少しぐったりしている。やっぱりあれかしら、初めてマスターが受けだったから凹んでるのかしら。
「え―――、だって、メイちゃんの原稿上手だし売れるし面白いし、止める要因なんてないよ、マスター」
 ミクは確か原稿が上がっていないはずで、マスターが握っているものと同じものを今読んでいる。紙面から顔を上げたとき、その頬が少し赤い気がするのはきっと気のせいじゃないと思うわ。
「―――俺は受けじゃない」
「あら、でもレンも受けじゃないじゃない」
「俺のところをカイトに変えろよ」
「そうしたら面白くないでしょう? マスターの名前を十七夜月って入れるんじゃなくて全部マスターって表記にしたのと一緒」
 そうしないと読者が楽しめないでしょう、と言うとマスターが完璧にソファに突っ伏した。

「―――ああ、マスター。ちなみにさっきの話の設定、マスターが犯されてるところソコだから」
「ぶッ!」

 マスターが盛大に吹いた。何よ失礼ね。夢でしょう、ソファで犯される男とか。言えばマスターはそれは夢とは言わん! って怒鳴った。
「…メイコ、これを本当に売るつもりか…?」
「ええ。頑張って作ったんだもの」
 何のために最近ろくにお酒も飲まないで考えてたと思ってるのかしら。これから入稿すればまだ全然間に合う日付。予定ではあと3日は完成が遅れるはずだったのに、ついこの間レンとマスターが話してる会話なんか聞いたから思った以上に早くあがったわ。

 その点では、本当に感謝している。

「後はミクの原稿が終わるのを待つだけね…」
「…俺は恥ずかしくて死ねそうだ…」
「大丈夫よ、大げさね。未だかつて恥ずかしくて死んだ人間は1人だっていないわ」
 言えばマスターが苦い顔で「そういう意味じゃない」と言った。
 そんな事言ってるとレンにも見せてくるわよ、と言ったらマスターはやけにおとなしく引き下がった。

「―――…メイコ、リンはそんな道に引き込んでないだろうな…」
 マスターの何所か死にそうな声に、あたしは嘘をついてあげた。だってきっと、知ったらマスター、憤死しちゃいそうだもの。
「ええ、引き込んでないわ」
 本当はもう、原稿書くとか言い始めてるんだけど。
 ミクの不思議そうな視線に気付いてあたしはそっと唇に人差し指を押し当てた。
 「ナイショ」と唇だけで紡ぐと、ちゃんと気付いてくれたみたい。

 とりあえずマスターから原稿を引き抜くと、うんと伸びをした。これで漸くちゃんと寝れそうだわ。

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