悠久の丘で
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12 これから起こる絶望を希望と言った君はもういない

『大丈夫だよ、どうにかなるって。ほら、クラウド』
彼女はニッコリと笑って空を指差した。
空は蒼くて、これから起こり得る惨状なんて知らないように、鳥までも飛び交う。
木々は高い空に向かって腕を伸ばし、水は静かにその水面をたゆたわせている。
「大丈夫、まだ間に合うよ。誰が何をしようと、私たちはやらなきゃいけない。
皆こんなに幸せそうに暮らしてるんだもん。…そうでしょ?」
陽に透かすと金色に近い色合いになる髪を結い上げた彼女は言った。

強い人だった。
いつでも彷徨う俺の腕を引いてくれた。
弱さを持って、それを補う強さをちゃんと持った人だった。

「…でも」
「でも、も何もないよ、クラウド」
俺の隣に腰を下ろし、膝を抱えて広い空を見る。
「だってやらなきゃ!もう関わっちゃったもん。見なかったフリなんてできないでしょ?
…こんなに今の世界は綺麗なんだもん。あなたに会えたのだって、星のおかげなんだもの」
てをパンと胸の前であわせ、嬉しそうに微笑む彼女の顔を不思議そうに見つめた。

どうしてこんなに前向きなんだろう。
どうしてこんなに強いんだろう。

「私、強くなんかないよ?」
その言葉に思わず目を見開いて驚いてしまった。
それをクスクスと笑った彼女が続けた。
「私だけだったら、ここになんていられないよ」
嘘だ、と思った。
「だって、皆がいて、クラウドがいるから。だからこの世界にいたいんだよ」
そっと手を重ねられて、吃驚した。
その時に彼女に浮かんだ笑顔が、忘れられなくて、目に、胸に焼きついて。
どうしても忘れられなかった。



『「絶望」?何言ってるの、「希望」だよ』
優しい笑顔が胸に浮かんで、その声が耳から離れなくて。
人目があったとしてもその華奢な体にすがり付いてしまいそうで。
だけど、手から離れた彼女の体が水に沈んでいった。
信じられないくらいに優しくて、信じられないくらいに凛とした顔で。
彼女は去っていく。

なぁ、俺は何をすればいい?
何をすれば、1人で災厄に立ち向かった君に顔を合わせられる?
『だってやらなきゃ!もう関わっちゃったもん。見なかったフリなんてできないでしょ?』
…そうだ、よな。
俺だって、エアリスのおかげでここまで来れたんだ。
やるよ、君が最後まで出来なかった事を。
「見なかったフリなんてできない、…か」

誰もが絶望といった。だけど君はそれを希望だと言った。
わかったよ、希望だよ。
希望になるよ。

だから。

「静かに眠っててくれ」
君を不安にさせるような要因は除くと誓おう。
君の前で恥じることなく笑いたいから。

静かにお休み、大地の母。

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