「何にも変わってないのね、エスカ」

久々に再会したそいつの物言いは、
昔と打って変わり、艶めかしいものだった。

俺も幼馴染のあいつもまだ小さかったころ
毎日のように弱虫と言われ、からかわれ、
挙句の果てには辱められていたそいつは
見る影もなかった。

下げられた眉は、細く上へ
純粋だった瞳は艶かしく
わななかせた口は、色っぽく吊り上げられた。

「お前は、随分変わったな」

「そうでしょう、あの時私を下に見たものを
 見返しにきたの」

強気な瞳からは、俺の後ろに隠れるように
生きていたあいつを想像もさせてくれない。

「エスカ あなたもその一人なの」

気がついたときには遅かった。
額に冷たい銃口が当てられる。

惚れた弱みか、違うなこいつじゃない。
俺が鈍いのか、あいつが早かったか、
それすら分からなかった。

「撃つのか」

聞いておきながら頭のどこかでは
冷静に終わったと判断していた。

「ええ」

あっさりしていた。
そいつにならいいと思ったのかもしれない、
抵抗はしなかった。

「なあ、最後に言っていいか」

「どうぞ」

言葉が纏まらない。
単純に吐き出した。

「多分、好きだった」

「・・・そう それだけ?」

「ああ」

パアン、鼓膜が破けるような音と共に
一瞬だけ激痛が奔った。


ばいばい弱虫なあなた

最後に見えた顔は
あのときの
かおだった










アメさんの企画、懇願に提出させて頂きました。
ありがとうございます。




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