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戻ってきた佐助の目に映ったのは、なんとも和やかに談笑する秀晶と幸村と信玄の様子と。
信じられない顔でその様子を見ている家臣達や忍の後ろ姿。

良かった、俺様だけじゃない。

あまりの二人の順応性ぶりに馴染めない自分がおかしいのかと実は不安になっていたのだが、他の皆の反応を見る限りおかしくないのだと自信が持てた。
皆の眉間にはシワが寄っていて、口は半開きになっている者が多数。
間抜け面とも言える顔で見ている者ばかりだ。
細く開いた障子の間からガタイの良いむさい男達が、団子になって見ている姿は正直、見れたものではなかったが。

ああ、この始末はどうしよう。
と、次にやるべき仕事を見つけて、佐助はげんなりとするのだった。


「ま、考えても仕方ない、ってね。 よっ!」


なるようになれ、そんなやけくそ精神で潜んでいた木の枝を強く蹴り、どうやって入ったのかは企業秘密で教えられないが部屋の屋根裏へ侵入し、ストン、と室内に降り立った。

途端に集まる視線に、ヘラヘラとした笑顔を向け荷物を持った手を上げる。


「お待たせ〜、忘れ物ってこれっしょ?」


秀晶の目の前に出せば、笑みを浮かべ「そうですそうです」と言いながら袋を受け取った。


「ありがとうございます、佐助さん。 これですよ…! お礼に抱き締めて差し上げましょうか?」

「いや要らない! 絶対!!」

「おやおや、傷付きますねぇ…」


ああぁ、悲しい。
そう笑いながら悶える秀晶に、誰が抱き締めて欲しいと思うんだろうか。
抱き締められた途端に捕食されそうだ、クリオネのように。

青ざめた顔で秀晶から距離を取る佐助に、知ってか知らずかジリジリと近寄る秀晶。
一応佐助が浮かべていた笑顔が引きつり始めた頃、甘い匂いに我慢出来なくなった幸村によって助け出されるのだった。


「秀晶殿! 中を見てもよろしいか!!?」


幸村の声に振り向いた秀晶は、完全にお預け状態の幸村に和む。
よだれが危ういが。


「えぇどうぞ」

「かたじけないッ!!」


良し! と言われた犬よろしく弾かれたように袋の中を漁る幸村。
プラス、単純に中が気になっていた信玄。
ガサガサと取り出して、お高めのカップアイスをじぃ…っと見つめたり匂いを嗅ぐ二人。
限りなく野性的だ。


 


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