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何だか得体の知らない物に触ったような感じがして、妙に気持ち悪い。
いや、得体の知れない物だけど。

自分で自分にツッコミを入れるも、何度も手を擦ってしまう。

触るくらいなら大丈夫だったが、いざ使うとなるとやはり秀晶の言う通り、異界の物であるからなのか言い知れぬ悪寒が走るのだ。


そんな佐助の様子をさして気にするでもなく。
受け取った携帯を耳にあて「代わりました」と秀晶は言った。


『あのさ…』

「はい」

『もしかしてさっき電話代わった人って、オレンジっぽい髪の毛してて、迷彩柄のポンチョみたいなの着てる?』


そう言われ、横目で佐助を見据えれば確かに、妹の言った通りの外見をしている。

唐突に秀晶から流し目を受けた佐助は非常に居心地が悪そうだったが。


「着てますね」

『じゃあさ、もしかして赤いライダースーツみたいなの着てて赤い鉢巻きして、ござる口調の人居ない?』

「ござる…? 真田殿の事ですか? あぁ、そういえば私、信玄公とお会いしましたよ!」


とても格好の良い方なのですよ、と笑いながら告げれば電話の向こうからは『あ〜…』という声。

上座からは「ほほぅ」と言って、満更でもなさそうな顔をした信玄が髭を指先で撫で付けている。
幸村は幸村で、自分の事のように照れていたが。

そんな様子に和んでいれば、『お兄ちゃん、お兄ちゃん!』と電話の向こうから呼ばれて「はい」と返事を返す。


『最後に確認したいんだけど、ちょっとそこに居る人達写メで撮って送ってくれない? 添付のところで出来るから』

「分かりました」


切りますよ、と言って赤いボタンを押し、さてカメラは…とボタンをかしかしかしと押しだす秀晶に、様子を見ていた佐助が話しかけてくる。


「ねぇ、このでんわ? の相手って秀晶の旦那の妹さんだよね? 何で俺様達の特徴知ってんの?」

「ああ佐助さん、もうちょっと左に寄ってくれますかねぇ」

「あ、こう? …じゃなくて、ちょっと、話聞いてんの?」

「真田殿はもうちょっと右に、あぁ信玄公は動かなくて大丈夫ですよ」

「ねぇ聞いて」

「はい、じゃあ撮りますから動かないで下さいね」

「聞いてよぉおぉお!!」


パシリ、と乾いたシャッター音の後に表示された写真は今にも苛立ちか何かで泣き出しそうになった佐助と、何故か慣れているふうに綺麗にポージングした幸村と信玄が居た。

 


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