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「要領の良い人に代わってくれと頼まれましたからね」


まぁそんな状況になっている佐助はこの際どうでもいいか、と佐助には目もくれず信玄と幸村ににっこりと笑顔を向けた。

要領、の言葉に「うぐ」と何か喉に詰まったような声を二人して出したあと、信玄が「うぅむ…」と考える様子でその場にドカリと座り込む。

さっきからのし掛かられていた佐助はついに畳に突っ伏して、信玄の肘置きになっていた。


「おや、どうしたのですか? 佐助さん。 お行儀が悪いですよ」

「アハー、ぶん殴って良い? わりと本気で」


初めて会った頃のような雰囲気と声色、そして表情をし始めた佐助に、さすがの秀晶も動じる。


「アーッハッハ! それはそれで楽しそうですねぇ」


はずもなく。

取り合う気ゼロ、おまけに冗談なのか本気なのか分からないセリフを吐く秀晶に、佐助は深く長いため息を吐くのだった。

何アレ、超キモい。

そんな事を毎度お馴染みの忍達が思ったかどうかは別として、秀晶は「まぁそれは置いておいて、」と言ってまだ通話中のままにしていた携帯を佐助に差し出した。


「電話に、出て頂きましょうか」


佐助に携帯を握らせ、さぁどうぞとジェスチャーする秀晶を見ながら佐助はとりあえず今まで見ていた秀晶の動きと同じようにしてみる。

たしか、耳に上の方の穴をあてていただろうか。
そして、喋っていた気がする。


「ど、どうも〜? えぇと、秀晶の旦那の妹さんです、よ、ね? 秀晶さんから代わった猿飛佐助って言うんですけど〜…」

『………』

「あの〜…?」


たったそれだけしかしていなかったはずなのに、何の音もしない。

おかしい。

秀晶がやった時は向こうの誰かと話せたはずだ。


「あの〜?」

『…兄に…』

「はいっ!?」

『兄に、代わってもらって良いですか』

「へ、ぁ、ああハイハイ! 了解っ!」


もう一度やってみようと喋ってみれば、いきなり声がして驚きで声が裏返ってしまった。

だがそんな事を気にする余裕は残念ながら自分には無いらしく、是の言葉を早口で言って目の前でしゃがんでいた秀晶に携帯とやらを押し付ける。


「?」

「代わってくれって妹さんがっ」


押し付けた携帯を秀晶が受け取ったのと同時にバッと手を離す。

またもや早口で伝えて、携帯を握っていた手を服に擦りつけた。


 


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