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携帯の画面を見てみれば佐助の写真は無く、変わりに妹に待ち受けにされた自分と妹の2ショット写真が映し出されていた。


「おや」

「え、何」


秀晶の呟きに律儀に反応する佐助の声を聞きながら「おやおや」と続けてデータフォルダを開く。

が、やはり佐助の写真は無く、一番考えられる事と言えば…。


「猿飛殿」

「はい」

「何かボタンを…突起を押しましたか?」

「はい?」


そう問えば「そんな事言われても…」と眉根を寄せ、思い出しているのか目が泳ぐ。


「俺様結構必死に奪い取ったからよく分かんないんだけど…。 何、何かあったの?」

「いえ、そんなお気になさらず」


不安そうにこちらを見てくる佐助ににっこりと返し、安心させるように言う。

ただそれが逆効果になる事は今の所分かっていない秀晶だった。


「ただ猿飛殿が消えただけですから」


これまた誤解されるような言い回し。

案の定ピシリと固まった佐助。
よほどショックが大き過ぎたのかぴくりとも動かず、その顔色は佐助の今の頭の中を表しているかのように真っ白だ。

それから何拍か空き、幸村の両手が両肩をガシリと鷲掴む。


「ぅおおぉぉぉおあああ!! 佐助ぇぇぇぇええっ!!」


ガクガクと首がプチっと取れそうなくらい揺さぶる幸村。

しかし返事はない。
ただの屍のようだ。

なんて懐かしいフレーズが浮かび上がるが、現状からするに幸村がトドメを刺していないだろうか。

幸村自身は起こそうと必死なようだが、そのやり方だと二度と目覚めない気がする。

今の今まで佐助に何かあっても無視してきた秀晶だったが、今回ばかりは止めた方が良いだろう。


「真田殿、猿飛殿が死にます」

「それをさせぬ為にこうやっているのだ!」

「そのやり方だと猿飛殿の首がプチっと取れますよ」

「ぷ、ぷちっとか…?」

「プチっとです」


つたない言葉で反芻してくる幸村に再度プチっと取れる事を伝えれば、やっと佐助を揺さぶるのを止める幸村。

手を離した途端ドサリと倒れる佐助だったが意識はあったのか「ぅう…っ」と唸る声が聞こえる。

たぶん…いやきっと、気持ち悪いはずだ。

本当にご愁傷様というか、将来ハゲるのだろうなと佐助を見ながらぼんやり思う、秀晶とその一部始終を見ていた天井の忍だった。


 


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