■ またね、

その後、うめちゃんにお菓子を貰いつつ近況報告的なものをし、後からやってきたじぃちゃんに驚かれた。
仲良くしてたことっていうより、うめちゃんの手の早さにびっくりしたらしい。
手の早さって人聞き悪いんだけど、どういう意味ですか、じぃちゃん。

まぁ、ゆったりとみんなで微睡んでいたんだけど、そろそろ帰らないといけないらしくて女中さん達がせかせかと帰りの支度をしてくれている。
ちなみに俺は部屋の中にいたら邪魔かなと思ったので、庭で蟻の行列追いかけてます。
ちょっと気になるよね、蟻の行列。
たまに石粒で損害が出ない程度に爆撃を加えつつ、蟻の巣の出入り口か運んでいる何かを調べるかちょっと悩んで、巣を辿ってみた。
そこらへんに落ちていた小枝も拾って、ようやくたどり着いた場所は庭の端っこ、少し茂みになった庭園部分で、涼しいけど蚊が多い。

じぃちゃんに呼ばれて部屋に戻る頃にはあちこち刺されて、小太郎に少し心配された。
ちなみに、小枝は巣の入口に刺してあります。

昔からイタズラしたくなるんです、蟻の巣。

だめだけど。


「此度は愛らしいお子の顔が見れて、たいへん、梅は楽しゅうございました」

「なに、可愛い孫を見せに来ただけぢゃ」


うりうりとじぃちゃんに前に押し出され、恥ずかしさで顔の熱さを感じつつぺこりと頭を下げる。
屈んで俺の手を取り、本当にありがとうね、と笑ってくれるうめちゃんに釣られへらへらともにやにやとも言える奇妙な笑みを返し、ありがとうございましたと言って握られた手を振った。

じぃちゃんが祖父としてのおじいちゃんになるなら、うめちゃんはおばあちゃんになるのかな、なってくれるのかなと皺の多い手と自分の手を比べていれば、本当の本当にいかなければいけない時間らしく小太郎に抱えられる。
小太郎もぺこりと頭を下げて、うめちゃんもぺこりと頭を下げ俺に向かって手を上品に振ってくれたので、お返しに思いっきり両手で振り返したら今度はあははと声に出して笑ってくれたのでよしっ!

ミッション、コンプリート!

小太郎の小脇に抱えられながらふふんと笑っていたところをじぃちゃんにバッチリ見られて、むにんっ、と頬を押された。


「じちゃ」

「なんぢゃ、才蔵」

「また、うめちゃんとこ、いく?」


そう言えば、じぃちゃんはぱちくりと目をまたたき、その後にんまり笑った。


「もちろんぢゃぞい!!」


その時も風魔と一緒にの、なんて続けるじぃちゃんにバレないよう、小太郎がちっちゃくため息をついたのを聞き逃さなかった俺でした。







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