■ ぷわぷわ

うーん、何なんですかね、気になる。

俺が首を傾げている間にも小太郎とじぃちゃんはずんずん進んで、それと一緒にぷわぷわ光る点も増えてきた。
一体何なんだろうなぁ、と小太郎の背中から身を乗り出した途端、左ななめ前から猛スピードで飛んできた光る点におでこに突撃されました。
ペシッていった、地味にチクチクして痛かったです。

当たった所を擦りつつ、また突撃されないようにちょっと小太郎を盾にして様子を窺う。
……いやまぁ、ちょっとっていうか、がっつり盾にしてるけども…。
ぷわぷわが増えてきて、ぷわぷわの正体に若干気付き始めた頃に草むらを抜け河原にたどり着き、小太郎が俺の腕を掴んで持ち上げて肩車の体制になった。
高くなった視界から見渡す景色は勿論、暗くても楽しいんだけど、今回はもっとすごい。


「すごっ、ほたる、すっご!」


前の俺だったらテレビの中、しかも作り物の方が見る機会が多いホタルが、それはもういっぱい。
どこを向いても二〜三十匹は視界に入る。
本当にホタルの光だけで人の顔って見れるんだなぁなんて思いながらじぃちゃんを見ていれば、満面の笑顔で「すごいぢゃろ」と自慢気に言われた。


「すっごい、きれい」


今時こんなに居るもんなんだなー、とちょっと思ってすぐに今は大昔に自分が居ることを思い出して、そりゃそうかと納得する。
水が綺麗なら、普通に居られるもんなんだよなぁ。
減る事もないもんなんだよなぁ。

ちょっぴり感傷に浸りつつ、空中で手をひらひらとしていれば何匹かが腕や指先にくっついてチラチラと光ってまた飛んでいく。
そしてまた新しいホタルがくっついて、挨拶するみたいに数回光ってうごめいて、いつの間にか全員飛び立っていった。
それを残念に思いつつ頭を下げて小太郎の顔を覗き込めば、鼻のてっぺんにぺかぺか光るホタルを一匹くっつけてたから思わず笑った。

うん、悪くない。



[ prev / next ]
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -