■ 終始の時


××県、○○市に住む、何々…なんて説明する気にもならない。
俺がどこで生まれて、親の名前は何とか。
兄弟は居たのかとか、飼ってたペットの名前とか。
教える気にもなれない。
だって俺がまだ、今の現状をよく分かって無いんだ。

だからお願いします。
誰か俺の状況を教えて下さい。


「おい、コレに飯食わせたのか」


そんな俺の願いも虚しく、向けられる視線は冷たい。

実の子供に向かって“コレ”呼ばわりですか、お父さん。
心の中でおちゃらけてみるものの、本当はチクリと刺さるものがあった。


事の始まりはこうだ。
高校三年になった俺は、部活に勤しんでいた。
まぁ高校最後の大会があるから、それは普通なんだけど。
遅くまで部活をやり、友達と「じゃーねー、また明日ねー!」なんてそんなふうにやり取りをしていつも通り、自転車に乗り学校を出た途端に、車に轢かれました。

ええ、それはもう盛大に。
だって一回体、無重力になったもん。
で、打ち所が悪かったのか、ポックリ死亡と。

人間ていつ死ぬもんか分かんないね。
呆気ないよ、本人の意思なんてまるで無視なんだから。
大会に出たかったとか、進学と就職を友達と放課後遊びながら話をしたかったとか、そういうのが全て潰えてしまったのだから。

 

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