■ 旅館到着


「ぉおお…!」


いらっしゃいませ。

豪華な門を抜け、人の良さそうな女将さんと綺麗な女の人がこれまた綺麗な姿勢でお辞儀しているその後ろで、前の居た時代なら一生縁なんて無いレベルの趣き抜群な旅館がそびえ立つ。

ぺこりと再度下げられた頭に、俺もお辞儀し返した。
…まぁ小太郎の後ろに隠れながらなんだけども。


しばらく歩いて…二十分くらいかな?

涼しい顔の小太郎の隣でじぃちゃんがひぃひぃ言いながら「まだまだワシは現役ぢゃあっ!!」なんて言い出して、その直後腰痛めたらしいから、俺が下りてじぃちゃんとチェンジした俺達は、先ほど言った歓迎を受けて部屋へと通される。

部屋に居るのは俺とじぃちゃんと小太郎しか居ないのに、ここまで広くて良いの? ってぐらいの部屋の広さ。

ヤバい、修学旅行みたい。

自分の荷物を抱き締めながら、部屋を軽く探険したい気持ちを抑えてずっと「おおぉ…」なんて言っていたら、じぃちゃんに荷物取られて背中押された。

振り返って見てみれば、笑ったじぃちゃんの顔。
うむ、と頷いたのを合図に、俺は駆け出した。


「すごっ、ひろっ」


近くにある、目に入った全ての襖を怒られない程度にスパァンと開け放つ。

開けても開けても部屋だから、何だか怖くなってすぐ小太郎達の所に戻ったけどね!

荷物降ろしてた小太郎のすぐ近くにあった襖を開ければそこにあったのは白いもこもこ。
もとい布団。

おお布団!


「こたっ、ふとん!」


くるりと小太郎の方を振り向いてそう言うと、小太郎は一度首を傾げてこくりと頷く。

うん、何言ってんだこいつ状態なんだろうね。
ごめん、俺も分かってない。
ただテンション上がり過ぎてワケわかんなくなってるの、俺。

ばふん、と押し入れの中の布団に飛び込めば予想以上にふかふかで体が沈み込む。

そのままもふもふとやっていれば、さっき話しかけた時からずっとこっちを見てたらしい小太郎と目が合って、にんまりとして見せた。


「ふふー!!」


超気持ち良いんだぜ、ここ。
小太郎もおいでー。

自分の横のスペースを空けてぺしぺしと叩き、両手を小太郎の方に伸ばす。

小太郎は少し考える素振りを見せたあと、俺の頭をぐりぐりと撫でた。

いや嬉しいんだけど、違うって言うか…。

撫でてくれている手を掴みグイグイと引っ張り、もう一度隣を叩けば戸惑いながらも隣へ寝っ転がってくれる。


 

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