■ 風魔さん

興奮のあまり枝の上に立ち上がってしまう俺。

日に当たって黒光りする瓦や漆喰が塗られた城の白い壁が渋くてかっこいいし、場所自体も高い所にあるからか城下町も少しだけ見える。

空は青いし、空気も綺麗で、思わず感嘆の息をもらした。


「すげ、きれー」


風魔さんっていつもこんな景色見てんのかなー。

よく木のてっぺんとか城のてっぺんとか、たまに空飛んでるのも見るし、とにかく高い所に居る事が多い風魔さん。

でも俺が見てる事に気付くとすぐに降りてきてくれて、「何?」って首を傾げてくれるし。

まぁ俺も特に用があるって訳じゃないから、風魔さんが傾げた方向と同じ方向に傾げちゃうんだけども。

だけど降りて来たらそのまま俺に構ってくれる、そんな風魔さんが俺は大好きです。


(そういえば…)


風魔さんよく腕組んでるよなー。

大体立ってるはずっと腕組んでるから、たぶん癖だと思うんだけど。

たまに俺を抱っこした時に腕組んでる所に座らしてくれます。
超・安定感あります。

てかもう本当に風魔さん大好きだなぁ、俺。
大人になるんなら風魔さんが目標だな。
だって風魔さんかっこいいんだもの、超憧れだもの、超リスペクトだもの。

ていうかこれ言ったら忍術とか教えてくれるかな?

風魔さんみたいになる為なら俺結構頑張るんだけど、才能無いと駄目なんですかね?


(次会ったら言ってみよう)


そう思いながら一人ウンウンと頷く才蔵だったが、小太郎の腕組みの癖が感染ってさっきから腕を組んでいる事に気付いてなかったりする。

そのまましばらくぼんやりと眺めていれば、視界の下の方にシュタッと何かが降り立ったのが見え、目をそちらへ向けた。


「あ、ふーましゃん」


…うん、噛んだね。
いい加減慣れようよ俺。
さ行苦手です。
いっそ別の呼び方しようかなぁ…。

まぁそれは置いておいて。
庭に降り立った風魔さんはキョロキョロしていて、またパッと移動して部屋の前まで移動し、俺の部屋の襖を開ける。
そして首を傾げ、また庭に出てキョロキョロとしだす風魔さん。

…もしかして。


(俺の事探してる?)


よね、たぶん。

俺さっきまで庭っていうか、下に居たもんね。

呼んだら気付いてくれるかな。


「ふーましゃ、すぁ、さ、ん」


……言いにくいっ!
日によって言いにくい!

もうさ行使うの止める俺。
別で行く。



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