■ 寝起きで
「………(あれ?)」
パチリと目を覚ませば、見覚えのある天井。
ただこの世界に生まれてきてからの見覚えのある天井で、古く和風な造り。
何があったんだったかな…と目を擦れば、いつもより感覚が鈍くなっている瞼に鼻の痛みで思い出す。
そうだった。
たしか縁側で座ってて風魔さんが来て、走り出したらコケて、そんで…。
うわ…、と恥ずかしさで両手で顔を覆う。
大泣きしたんですよね、すいません。
確かに転んだのも痛かったのだけれど、それよりも精神的に痛かったというかなんというか。
てか俺、風魔さんの事を風魔って呼び捨てにしちゃったんだけど大丈夫なんだろうか
……後で会ったら謝ろう。
“すいません”が“しゅいましぇん”になったとしても。
いや、“ごめんなさい”の方が“ごめんなしゃい”になって被害が少ないか。
“しゅいましぇん”だとふざけてんのかって言われそうだし。
そんな事をごちゃごちゃと考えていた時、隣でもそり…と動いた気がして何だろうと横を向く。
「ぅぁっ!!」
「!!」
ビクッと晃樹の体が跳ねると同時に、既に起き上がっていた小太郎もビクリと揺れた。
お互いにバクバクと心臓が音を立て目を見開く。
小太郎はまさかこんなに寝起きで驚くとは思っていなかったし、晃樹はまさか謝ろうと思っていた人物、しかも忍が自分の真横で寝ているとは思っていなかった為、不意打ちだった。
だがずっと自分だけ寝ているのも失礼かと思い起き上がって、ちょこんと正座したかと思ったらぺこりと恭しくお辞儀する。
それに応えたのか小太郎もいそいそと正座しお辞儀をし返したのだが、その次に為すべき事が分からない為動けない。
それは晃樹も一緒で、小太郎の顔を見上げながらどう謝ろうかと悩んでいた。
「ぁ、の……」
と切り出したはいいものの、何から話せば良いのやら。
とりあえず謝ろうと再度口を開く。
「ごめんなちゃい!」
あれ!?
「…しゃい!」
間違えた! ごめんなしゃいも言えなかった!
“ちゃい”ってなんだ“ちゃい”って!!
自己嫌悪と恥ずかしさからか、顔に血が上るのを感じて思わず俯く。
うわぁあ…完全に痛い子だよ俺…!
誰か頼むからセーブ地点に戻して!!
頭の中で自分にツッコミを入れ続ける晃樹の頭に、ぽん、と何かが置かれた。
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