■ 楽しみに
楽しみにしてろよ、二人共。
「はー…ひー…ふー…ふぇー…」
ああミスった! くそっ、この口が!
普通の小さい子の呂律が回らない舌とかそういうんじゃなくて、俺のは喉だから、こういう息吐くだけで出る音が出しやすいんだよね。
逆にあーとかうーの方が喉絞るからうまいこと出ないっていう。
「い」って言おうとすると「ひ」が出てきたりとかね。
でも頑張ったので今言える言葉は結構ほとんど。
ま行は修行中!
「ま」がどうしても流れるように出て来なくて、「まっ」ってなる。
さ行も「しゃしゅしょ」が混じりますがね。
た行は微妙かな、「た」が「た」と「や」が混じった感じになる。
あと他にも所々喋れる所があったり無かったり。
二人にはまだ教えてません!!
驚かせようと思ってこっそり練習してます。
ひとまずは「じ」と「ちゃ」が言えるように練習したから、結構上達してきたと思う。
今日こそ言いたいなぁ…なんて思ってるんだけど、なんだか忙しいらしいから二人が揃うのなんて滅多に無い訳で。
こうして縁側に腰掛けてポツンと一人で居るのがほぼ毎日かなぁ。
最近起き上がれるようになってからは風魔さんもあんまり見ないし…。
……あれ…まさか、嫌われた、とか…?
俺なんか悪い事したっけ?
そう思って自分の最近の素行を思い出すが、これと言って目立った事もしていない。
じゃあ何で…、と首を捻るが分からない。
嫌われるような事をやってしまったのだろうか。
そこまで考えて、思い出した。
やっぱり、目なのかな。
そうだよなぁ、行動やらの前に見た目があった。
あまりにもこの城で好奇の目や異形を見る目で見て来る人が居なかったから、忘れていた。
自分が何で捨てられたか、思い出してみろ。
自分が何でここにいるのか、考えてみろ。
「…このめ……」
理由なんて、ずっと知ってた。
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