■ 夢の行為
「ブンブンブン!(自分で食える! 自分で食えるから!!)」
「……(ズイッ)」
「……っ!!」
どうもこんにちは、晃樹です。
今、男の尊厳的な物が失われようとしています。
俺がここ、小田原城に来てしばらく経ちました。
ちなみにあのおじいちゃんが北条氏政っていうのも教えてもらった。
いやぁ、朝っぱらから大変でしたよ。
なぜか女中さんが大量に部屋に入って来て、揉みくちゃにされた。
ホント、もうどっから情報仕入れたのってぐらい来て、あんな事やこんな事を…っ!!
もう俺、お嫁に行けない…。
なんて事まではさすがにしてないけど、本当にあちこち触られた。
包帯変えるからって服剥かれるしさ…、薬師の人が廊下の所で苦笑いしながらこっち見てるし。
多分仕事とられたんだと思う。
その後正しく手当てしてもらったあと薬貰ったんだけど、食べ物食べた後じゃなきゃ駄目らしい。
で、この状況。
「……(アーン)」
いや、そんな口開けろって仕草が格好良いんですけど。ていうか無理!
晃樹が嫌がるその行為はいわゆる、「食べさせてあげるね…ハイ、あーん」の行為。
彼女にやってもらう男の夢だ。
しかし今目の前にいるのは男。
顔は整っているが体は結構男らしい。
しかも、さじの上に乗せたお粥をフーフーと冷やすオプション付き。
断固拒否したい所なのだが、さっきからこのスタイルは変わらず、もはや腹を括るしか無いようだ。
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