■ 暖かいよ
暖かい夢を見た気がする。
よくは分からない。
ただ自分の中を見てたような感じだ。
ちょっと説明が分かりづらいか…。
こう…自分から見てる事は分かるんだけど、自分の中に更にまた小さい自分が中に入っていて、安心するような…。
まるで、母親の胎内に居る感覚だ。
安心していた。
誰だか分からないが、頭を撫でられている。
酷く優しく。
先生や友達と言うようなものではなく、当たり前のように、恥ずかしくもなんとも無い。
懐かしい。
長く感じた事の無い感覚だ。
撫でている手は、髪を掴んで、投げたりしない。
殴ったりしない。
指を指して、気持ち悪いと、化け物だと、要らないと。
すがりつきたい程に。
すがりついて、抱き締めて、抱き締め返して、また抱き締め返されて。
そんな意味の無い行動がしたくなる。
自然と目が開いて、外の景色が飛び込んできた。
見た事も無い天井、部屋の造り。
ってか、あれ? 布団? コレ。 布団?
うわ初めてこの世界で布団で寝たわ俺。
でも誰の布団?
色々と混乱していたが、一人の人物と目が合い、脳みそが一時フリーズする。
えっと…どなた様?
赤髪に金瞳、男前っつーかイケメンっつーか…。
ぼんやりとした頭で考える晃樹だが、どこか見た事があると記憶の糸を辿る。
あれ…俺確か刺されて…と今更ながらに思いだし、手を傷口に当てるが包帯が巻かれている為分からない。
でもあんまり痛くない。
それで…捨てられて……あ!
あの時の赤い人!!
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