■ 生きてる

あと誰にも教えられて無いのに、食べれる木の実とか果物森から採って来たのがアレだったのかも。

俺なりのお手伝いだったんだけども…。


ちょっとそんな具合で村の子からは石投げられるし、親には殴られるし。

今年で六つになって、そろそろ年越しだと思うけど、二本足で歩けるようになって以来、親にご飯を作って貰った事は無い。

着るものも、今着てるこれしか無いから段々と袖が足らなくなってきた。
まぁ俺は体小さいみたいだから足らな過ぎて大変ってことは無いんだけど、さすがにボロボロになってきてる。

隣の家の子が、新調したらしい服を着て母親と手を繋いでいるのが見れた。
向こうのあの子も、長の子供はやっぱり良い服を着てる。
俺をよく苛めてくる子も、父親と一緒に水汲みの手伝いをしてる。


食べてるアケビが、甘いはずなのにちょっとしょっぱいのは気のせいだ。


多分、そろそろ、俺殺されるかも知んない。
ここ最近不作で、食べ物が少なくなってる。

口減らしで真っ先の殺されるの俺だろうな。

一番の年長者はもう死んじゃったし、皆畑耕す元気あるし。
そろそろ冬だし。


口減らしで俺が殺されたら、ちょっとだけでも親とか悲しんでくれるかな。
いなくなって寂しいなぁって、思ってくれるかな。

…いや、ないかなぁ…。
じゃあ、せめて。


「よろこんでくれるかなぁ」


声が震えちゃってるのは、気にしないで。


ねえこっちの世界のご両親、目が赤くても涙出ますよ。

涙が血の涙じゃないですよ。
心だってありますよ。

普通の子供ですよ。
普通の人間なんですよ。

精一杯生きてるんですよ。


こんな事言ったって、届かない事くらい分かってるけど。


 

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