「なぁ、今の…ほんと?」
「……さァな」
誤魔化せてない。自分でも分かってはいたが、上手い言葉が出てこなかった。とりあえず今は、どこでもいいから消え去ってしまいたい。


「俺はお前のこと好きだ。付き合わねぇ?」
「…あァ…、」


気が抜ける程あっさりとことが進んでしまった。こんなことでいいのか。簡単に捨てられるのではないか。そもそも本当に上条は自分のことが好きなのか。一方通行が今まで考えたこともなかった『人に好かれる』ということを真剣に考えている。
「なァ、本当に俺のこと好きなのか?」
「好きだよ」
またしても、簡潔に返された。位置的に上条の顔は見えないが、それが更に不安を煽る。起き上がるとテーブルの向こう側に見慣れた顔があった。見慣れているはずなのに、いつもと違う感じに見えてちょっとだけ照れる。
「ほンとかよ…?」
「…ほんと、だよ?」
泣きそうになった。でも、泣いて何になる。言い返せばいいのにそれもできなくなった。
「そんな顔すんなよ…」
そういって上条はテーブルに手をついて身を乗り出した。ゆっくりと一方通行に近付いて唇と唇が触れるだけのキスをする。愛情表現の意味を込めて。

「本当に、一方通行のことが好きだ」

なんのひねりもない口説き文句を聞いて、一方通行はテーブルの上に額を打ちつけるように顔を隠した。




好き合ってみた




(( 好きです ))


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