緊張する。掌にはべったり汗をかいているし、なぜだか、上条の顔を直視できない。いよいよ自分もおかしくなり始めたな、と。半ば諦め気味の一方通行は息を吐いた。
「どうした、さっきから俯いて?風邪じゃないよな?」
顔を上げる、たったそれだけのことにかなりの勇気を消費してしまう。何せ今の一方通行は少しおかしいのだ。体温を確かめるために自分の額に触れる相手の額も、顔の火照りを冷まそうと頬に触れる掌も、何もかもがおかしな気分にさせる。もしかしたらこれは、本当に風邪の兆しなのではないだろうか。
「風邪じゃなさそうだな…でも、恋の病なんて原因不明の病気も――」
上条の何気ないジョークだったのだが、その先が一方通行に届くことはなかった。ただ、なんとなく心臓にまで影響し始めたこの病について考えるので精一杯だった。


気付いてみた


(嘘、だろ…ない、ないない!)


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