垣一、若干暗くて厨二っぽい




















俺とこいつは、似ていると思ってしまった。それは外見とか性格みたいな単純なものではなくて、もっと根本的な、それでいて分かりづらい部分のような気がする。つまり、そこが似ているっていうことは似たような境遇に陥りやすいってことも意味しているわけで。こんなのは俺の勘違いかもしれないし、勘違いであって欲しい。それなのに、一緒にいる時間を重ねれば重ねるほど、俺に似ている『癖』を見つけてしまったりして、そのたびに身体中が痺れる。

俺と同じになんかなって欲しくない。

ただ純粋にそう思えたことに安堵と嫌悪を感じながら、頭の中でぐるぐると言葉が巡っては消えていく。その内の1つを口に出そうとしても、うまく声が出なかった。
「何、口パクパクさせてンだァ、気色悪ィ…」
心底、嫌そうな顔をしつつも声色で心配されていることが分かって、なんだか急に気恥ずかしくなってきた。他人の心配ばかりする善人じみたところは俺とは真逆で自然と口元が緩む。
「何ニヤけてンだ…」
「俺の一方通行が天使のようで、ついつい笑みが」
「誰がいつテメェのモンになったンだ、ふざけンなよメルヘン」
俺がここにいることすらこいつにとったらマイナスかもしれない。光だの闇だの、今更俺は考えていないが、それでも、その紅い瞳が光を見つめて望むなら、

「なァ…無視すンなよ、1人になったみてェじゃねェか…」

俺が暗い闇の底になることで、より一層美しい光をお前に。




200110825THU


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -