傷跡がいっぱい。

きらは目を閉じながらついさっきの、ほんの数十秒前のザンザスの姿を思い出した。互いに殆ど肌の状態で抱き合って互いの肌の感覚をじっくりと楽しむのもそこそこにザンザスは初心な婚約者にまた口づけをした。

何度も口づけをしているが足りないくらいである。可愛らしく上唇を啄まれたりするのはいつもの事で、最初の頃はあまり上手ではなかったがきらも慣れてきたものだ。ザンザスの厚くて形の良い唇を恐る恐る啄み返した。目こそ瞑ったままであるが、重なり合う肌と肌になんだか恥ずかしくなったのだ。当然ここまで来て、ザンザスがそんな可愛らしい口づけで満足する筈がない。溢れてしまいそうな熱情を訴えるように下唇を強く啄んでくる。次第に荒々しくなる口づけにきらは眉頭を寄せたが、嫌な気にはならなかった。

「あっ、んぅ」


そして声を漏らした刹那、ザンザスの舌がぬるりと入り込んできた。
彼よりも小さな歯の中に大人しく納まっている舌を起こすようにザンザスはきらの舌を舐める。慣れない感覚に驚き僅かに舌が跳ねるも、ザンザスの舌に救いあげられて彼の思うままにされてしまう。

「きら、もっと口を開けろ」

きらは逆らえない。こんなにも熱に浮かされるような感覚は知らなかったし、ザンザスによって引き起こされている感情に戸惑っているのだ。彼もその事はきらの様子からわかっていたが、自分の欲望に応えようとしてくれる様は彼の心の奥を擽る。
言われた通りに口を少しだけ開けた彼女にご褒美だと言わんばかりにザンザスはまた、熱情をたっぷりと込めた口づけをした。舌を吸われたり、舌と舌を合わすように促されたり。
口を閉じる事は出来ない、呼吸をするには激しすぎる口づけにきらは眩暈がした。彼女から漏れる声は甘く切なく湿り気を帯びて、体の中にある何かが今にも溶けだしてしまいそうだった。自分の知らぬ感情を、まだはっきりと捉えきれていない欲望をザンザスが溶かそうとしているのだ。

「濡れてるな」

「えっ」

ぽんやりと、ザンザスの熱情に浮かされてしまったせいで気付かなかった。またもやザンザスの手がいつの間にか、下の方へと下っていたのだ。それだけではなくまさか、自分以外に触れられた事もない秘部に触られていたとは!

「は、はずかし」

「そういうもんだろ」

「だめ、だめ!」

「履いたままするか?」

そういうことではない、と言い返す間もなくきらの下着はザンザスによって奪われてしまう。羞恥心による悲鳴をあげるも彼女はついに生まれたばかりの姿になってしまった。ザンザスは普段触れる機会が殆どない足を、足首から太ももの上の方まで手を滑らせる。太ももの最も柔らかな場所で手を止めて、自分にはない柔らかさ楽しむように手に力をいれた。
きらは恥ずかしくなり胸を隠す様にして両手を胸の前で握りしめた。この行為をするのでさえ十分恥ずかしいのに、じっと体を見つめられるなんて。燃え上がらんばかりの彼の瞳に焦がされてしまいそうなのだ。視線の置き所に迷い、自分の太ももを掴んでいるザンザスの手に視線を持っていく。大きな手だ。武骨な、男らしい手だ。きっと彼女の顔を掴むのも容易いだろうし、両手など一まとめにされてしまうだろう。ああ、そうだった、と苦い思い出がわずかに蘇った。恐ろしい出来事ではあったが今は彼の指を中にいれたらどうなるのかと興味の方が勝っている。その指でどんな風に、

「あっ!あ、ま、」

「まだきつそうだな」

ザンザスの指が少しだけ、きらの秘部の入り口に入った。まさか自分の考えを読み取られたのかと思うタイミングである。固く閉じられながらも零れでそうな蜜を指の先につけてザンザスはそのまま秘豆に触れた。きらの肩がびくり、と震えたが優しく指で押し刺激を与えた。

「んん・・・っ」

所謂気持ち良さ、その先を期待する程の疼きを彼女はまだ感じられない。時折ザンザスの方へ顔を向ければ慣れない感覚に身もだえする様子を食い入る様に見つめている。

「ザンザスさん、あぅ!」

言いたかった言葉は秘肉を割るような痛みに飲み込まれてしまった。ザンザスの指が中に入ってきたのだ。少しだけ蜜が零れたから入れてみたものの、秘肉は異物を受け入れるのを拒んでいるかのように狭くきつい。入る隙間などどこにもないのに、無理矢理隙間を作るような感覚が彼女を襲う。声にならない悲鳴を上げながら指が止まるのを待った。ゆっくりと傷つけないようにしているつもりだが痛いものは痛いのだろう。ザンザスはきらの目尻から涙が零れたのを見逃さなかった。

「痛いか」

「・・・痛い・・・」

力んでいるせいか彼女の肩はベッドから浮いており、ザンザスはこぼれた涙を拭うように、体を屈めて目尻にそっと口づけを落とす。
腹の下で疼痛が広がっていくがこうして口づけをされると幾ばくか和らぐ気がしてきらはもっとして、とザンザスにねだった。涙で潤んだ縋りつくような眼差しを求められて彼が断わる訳がない。ほんのわずかに熱情を押えた、優しい彼女を思い遣る口づけである。


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